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主張がれき広域処理

公明新聞:2012年4月11日付

一層の受け入れ先拡大を
不安の根底に政府への不信
国民目線で「安全」を語れ

東日本大震災から1年と1カ月。がれきの広域処理にようやく光が見えてきた。

政府が受け入れを要請していた35道府県10政令市からの回答が6日までに出そろい、複数の県や市が新たに受け入れを表明していることが分かった。東京都などすでに受け入れている自治体と合わせると、少なくとも11都府県10政令市に広がるとみられる。

今回の回答とは別に、京都府舞鶴市や静岡県島田市などのように、首長が正式に受け入れ表明した自治体もある。公明新聞が全国の支局網を駆使して調査したところ、議会として受け入れに関する決議を行った自治体も13府県4政令市48市町村に上っている(3月30日現在)。

この流れを重視し、「オールジャパンで“痛み”を分かち合う態勢づくり」(井上義久幹事長)を加速させたい。

国の責任で県内処理される福島県のがれきを除き、大震災で発生した岩手、宮城両県のがれき量は2000万トンを超える。岩手は通常の年の11年分、宮城は19年分に相当するが、これまでに処理されたのは8%程度にすぎない。

がれき処理の遅れは、被災地に深刻な影響を及ぼしている。がれきの山が発酵して火災を引き起こす事例が頻発しているほか、悪臭や衛生上の不安から心身の不調を訴える人も後を絶たない。復興を進めようにも、大量のがれきに阻まれて身動きが取れない地域もある。

広域処理の受け入れが難航してきたのは放射性物質への不安が拭えないためだが、そのおおもとの原因を探れば、原発事故をめぐる政府の対応への不信感にたどり着く。

事故発生直後の菅内閣(当時)の「稚拙で泥縄的な対応」(民間事故調中間報告)は言うに及ばず、野田首相も一方的な「事故収束宣言」や「避難区域再編」などで国民の不安を増幅させてきた。関西電力大飯原発の「再稼働」をめぐるここ数日の政権内の不明瞭な動きも同様である。

大半の国民が広域処理自体に賛成なことは世論調査でも明らかなのに、いざ受け入れとなると尻込みしてしまうのは、まさに「国民の不安をしっかり受け止めない(中略)政府のやり方への国民の自己防衛」(朝日新聞で評論家の加藤典洋氏)のゆえなのだ。

その意味で、国は放射能汚染のリスクや安全基準などについて、国民目線に徹して説明する必要がある。けだし、首相の「日本人の国民性が試されている」発言などは“上から目線”の極みであり、言語道断というほかない。

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