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【宇宙からのメッセージ】小松左京と秘書のおかしな物語(3)万国博研究
2012.3.29 07:39
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というのは、78年から小松さんが私をアシスタントに始めた「大正時代研究会」も、そんなふうだったからだ。こちらは学習院大学の河合秀和教授(政治史)、東京大学の中村隆英(たかふさ)教授(経済学)と加藤秀俊さんのメンバーで、大正時代を学際的に捉えたい、という問題意識のもと、大正時代に少年・少女期を過ごした人々にお話を伺って、雑誌『諸君』に一年間連載した。敗戦後、民主主義やウーマンリブが始まったと思っているが、実は、大正デモクラシーがあり、平塚雷鳥(らいちょう)の青鞜(せいとう)社運動もあった。大衆消費社会も始まっていた。歴史から学ぶためには大正時代を一度清算しておきたい、という考えだった。
小松さんは大正時代がいかにモダンで文化的に隆盛だったか、と話す一方で、エロ・グロ・ナンセンスの大正時代も好きで、「女性がズロースをはくようになったのも白木屋の火事以来だから、大正時代はノーパンだったんだね」とか、「新聞に貞操帯の広告が載ってるぞ」「女子大生が援助交際募集の記事を載せてる」とか、おかしなことをよく見つけてはしゃいでいた。エノケンの「ベアトリ姉ちゃん」やモボ(モダンボーイ)をうたった「洒落男」も、よく覚えていて歌って聞かせた。そんな時は、80キロを超す体重も軽やかにステップを踏むのである。(乙部順子)=毎月最終木曜日に掲載
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【プロフィル】乙部順子
おとべ・じゅんこ 昭和25年、東京都生まれ。成城大学経済学部卒。52年から小松左京さんの東京でのアシスタントを務める。20年前から、小松さんの設立した会社「イオ」を継承。「小松左京マガジン」(季刊)を10年以上発行し続けている。
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