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再稼働阻止の国民意思を政治回収した橋下徹の手管
再稼働問題の政治が意外な方向に展開を始めた。今週中に四閣僚会議で政府決定を出し、枝野幸男を福井に飛ばし、北朝鮮問題で国内が沸騰しているどさくさに、そのまま関電にゴーサインを出す段取りかと思っていたら、橋下徹が異議を唱えて抵抗勢力として割り込んできた。奇妙な光景だ。昨夜(4/10)のテレビ報道はこのニュースが主役で、今朝(4/11)の朝日も1面と2面を割いて大きく報じている。ネットの中も議論が盛り上がり、北朝鮮問題を押し退けるほど関心が高い。明らかに、橋下徹が「脱原発」を代表するヒーローとして屹立し、再稼働に反対する国民の要求を回収して政府と対峙した恰好だ。脱原発の市民運動側が後込みしている間に、脱原発の政治シンボルを橋下徹に盗奪される最悪の構図となった。世論調査が出るかどうか分からないが、橋下徹の「再稼働反対」の動きが国民から高い支持を受けるのは間違いない。昨夜の報ステの報道は、橋下徹を全面的に応援する論調になっていた。永田町の空間から野党の存在が消えて久しいが、今、橋下徹が「疑似野党」となり、大阪に一つの政局を作っている。今年に入って、テレビが夜のニュースで橋下徹を映さない日はなくなり、市松模様のボードの前で大口を叩く会見を流さない日はなくなった。消費税、再稼働、あらゆる問題で政見主張を全国放送させていて、まさに政策論議の発信点になっている
昨日(4/10)、大阪では二つの会議があった。午前の
大阪府市エネルギー戦略会議
と、午後の大阪府市統合本部会議である。NHKでは前者の内容はほとんど紹介しなかったが、テレ朝の報ステは、関電副社長を呼んでヒアリングした内容をかなり詳しく伝えていた。この大阪府市エネルギー戦略会議に、飯田哲也、河合弘之、大島堅一など、脱原発の著名論客が顔を揃えている。まさに錚々たる布陣で、国民の信頼と期待を集めるのに十分なメンバーだ。飯田哲也が
市顧問
となって参加していたことは、例の物議を醸した「問題意識とアプローチが飯田も(橋下徹と)全く同じで共感」の
信仰告白
の事件で知っていたが、まさか、河合弘之と大島堅一まで入っていたとは知らなかった。昨日の会議のヒアリングでは、彼らが国民に代わって関電に詰問し、関電の言う「電力不足」の怪しさと再稼働の出鱈目ぶりを浮き彫りにする一幕があった。まさに効果抜群の映像で、視聴者は痛快な気分だっただろう。この会議で関電を袋叩きにした後、
大阪府市統合本部
会議で「8条件」を決定、橋下徹の「選挙争点化」の記者会見という進行になっている。マスコミ報道をよく意識して設計された政治であり、昨日は橋下徹のワンマンショーの一日だった。府市エネルギー戦略会議は、まさに野党のそれであり、府市統合本部会議は、野党の常任幹部会か中執委である。堂々たる野党の存在感。
再稼働問題で橋下徹が政局のヘゲモニーを握った。再稼働については、国民の
6割
が反対で、賛成の2倍以上の多数派となっている。マスコミ報道でも、読売や日経は別として、NHKを含めたテレビでは、電力会社と経産官僚は悪役として扱いが決まっている。国民世論をバックに、橋下徹は正義役として縦横に振る舞い、マスコミに宣伝報道させ、国民の支持を高めることができる。無論、橋下徹は国民の安全のために本気で再稼働阻止に動いているのではなく、実際には人気取りの道具であり、選挙目的の撒き餌であるに過ぎない。そのことは、記者会見で言ったところの、「8条件なんて、こんなもの関電も政府も無視すればいいんですよ」「最後に国民がどっちを選ぶか選挙で決めればいい」の
発言
で明瞭に窺い知ることができる。橋下徹は、再稼働阻止に自身の政治責任をコミットしていないのであり、逆に無責任を公言し、「
8条件
」の標語性と無効性を最初から定義している。政策論としては自己否定だ。要するに、再稼働阻止の実現には最後まで拘らず、関電の大飯再稼働は黙認するが、それに反発する国民はオレに選挙で投票してくれと言っている。単なるパフォーマンスだと自分で認めている。政策論として自己矛盾で自己破産な会見をしたため、本気でないことを
藤村修
が見抜き、苦笑しながら「支離滅裂だ」と切り捨てる顛末となった。この一点については藤村修の方が正論である。
が、飯田哲也、河合弘之、大島堅一が並んだ
大阪府市エネルギー戦略会議
は、今後も国民の期待と支持を集め続けるのは確実で、マスコミも注目して取材し続ける。この戦略会議がテレビで映るたびに、橋下徹の支持率が上がり、次の選挙での集票のエンジンとなる。これまで、脱原発のシンボルと言えば、例えば広瀬隆と小出裕章で、全基即時停止の立場が正統とされ、飯田哲也や金子勝のような自然エネ置き換え派に対して胡散臭い視線が当てられる認識が一般的だったが、こうして橋下徹が政治的に突出して勢いを持つと、小出裕章的な市民派の正統的勢力が影に隠れる事態となる。脱原発が橋下徹と飯田哲也の元に糾合される。おそらく、橋下徹は、政権を取った後、得意の二枚舌と嘘八百を駆使して、すでに再稼働を果たした原発の停止や廃炉に言及することなく、経産官僚の既定路線をそのまま踏襲するだろう。よく考えてみればいい。今の橋下徹の「再稼働反対」や「脱原発」の政策姿勢は、昨年の菅直人の「脱原発依存」よりも、(見かけ上は)ずっとラディカルな性格だ。ところが、経団連の米倉弘昌が黙っている。橋下徹の「再稼働反対」について何も批判を加えない。昨年の菅直人に対しては、老人のヒステリーを全開させて罵倒し、保守議員と保守マスコミを動員して引き摺り降ろす工作に躍起になっていた。米倉弘昌は知っているのだ。橋下徹の「再稼働反対」がポーズだけのポピュリズムであることを。
猿芝居だと分かっているから、米倉弘昌はこの政治に顔を出さないのである。本日(4/11)の朝日の3面には、経産省が今夏の電力需給見通しについて、今月中に初の公開検討会を開くという記事が載っている。その会議には、脱原発系の専門家にも参加させるともある。大飯原発の再稼働を決める四閣僚会議では、次回(すなわち週末)、今夏の電力需給が議論されるという報道が出ていた。大飯原発再稼働の政治判断と、この経産省の電力需給見通しの検討会が、どういう関連になっているのか不明だが、普通に考えれば、需給見通しを精査して供給超過となるのなら、関電であれどこであれ原発の再稼働は不要となる。電力不足は原発再稼働の前提条件であり、原発推進派の議論の所与であり政策の根拠だ。ここで、その前提が崩れると、再稼働の政治は動きを封じられざるを得ない。経産省主催の検討会が開催されるということは、前提条件の存否を問い直すことであり、ゴーサインまでプロセスがワンクッション入るという意味になる。そう解釈すれば、これは枝野幸男の抵抗だとも受け取れる。いずれにせよ、週末の四閣僚会議で、今夏の電力需給の政府判断が何らか示されるのは間違いなく、電力不足という結論であれば、その証拠も説明されることだろう。この動きと同期するように、飯田哲也が府市エネルギー戦略会議の報告
Tweet
で、関電が4月中に需給見通しを詰めるという情報を強調している。来週以降、電力需給が焦点になる予感がする。
それにしても、何度も嘆じて言っていることだが、本来の市民側の脱原発運動が自己を政治的に可視化できない。この大飯再稼働の重大な政治局面で、誰一人としてマスコミに登場して正論を述べた者がなく、報道の上では沈黙してしまっている。マスコミだけでなく、ネットの中でも、脱原発運動の主宰者とか論者が顔を出さず、再稼働に反対する論陣を張っていない。一体、これはどういうことだろう。脱原発運動の非政治主義。私は、これを脱構築の思想的影響として把握するのだけれど、とにかく異常と思われるほど、自己を政治勢力化しようとせず、政策の現場に影響を与える対抗軸を作ろうとしない。デモに出るだけ、講演を聞くだけ、本を読むだけ、それだけで終わって満足している。本来、大阪のエネルギー戦略会議のようなものは、橋下徹ではなく、脱原発運動そのものが率先して開催すべきもので、データを分析し、問題提起し、政策提言して一般に問うべきものだ。それをやっていない。ときどき集会を打ち、署名を集めているだけ。例えば、経産省前のテントで座り込みをしている者たちがいる。努力には敬服するが、運動の前衛であるならば、どうしてその位置で停止し、その先の政治勢力の構築にまで手を広げないのか。ディスカッションをしないのか。脱原発を求める国民の意思が橋下徹に回収される危険性を恐怖しないのか。昨年のTPPのときは、曲がりなりにも「TPPを考える国民会議」のセンターがあり、そこへ苦情や要望の電話をかけることができた。発破もかけた。
今回の再稼働阻止には、どこにも訴える先がない。不本意ながら、一人でTweetするだけだ。
by
thessalonike5
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2012-04-11 23:30
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