中国の国営新華社通信は10日、共産党中央が前重慶市党委員会書記の薄熙来(ポー・シーライ)氏(62)の党政治局員と中央委員の職を解任した、と伝えた。重大な党規違反があったという。薄氏は今秋の党大会での最高指導部入りが有力視されていたが、その失脚が決定的になった。
薄氏は側近の王立軍・重慶市副市長が2月に四川省成都の米総領事館に駆け込む事件を起こしたのを受け、3月15日に重慶市トップの党委書記の職を解任されていた。
薄氏は2007年に直轄市である重慶市に着任し、暴力団一掃や汚職撲滅、貧富の格差是正などの政策で市民の人気を得たが、大衆動員を多用する保守的な政治手法に胡錦濤(フー・チンタオ)・温家宝(ウェン・チアパオ)指導部から反発が出て、次期最高指導部人事をめぐる権力闘争に敗れた形だ。薄氏の失脚を受け、今後、次期最高指導部を巡る中国政治の勢力構図に変化が生じる可能性がある。(北京)