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明治三陸地震 立命大院生、掲載米紙を発見

津波被害によるがれきが、辺り一帯に広がる被災地。現在の宮城県南三陸町付近とみられる
津波被害によるがれきが、辺り一帯に広がる被災地。現在の宮城県南三陸町付近とみられる

 日本の津波被害では過去最大の死者・行方不明者2万2千人を出した明治三陸地震(1896年)直後の写真を掲載した米国の新聞が見つかった。見渡す限りのがれきの山と片付ける労働者、家を失い避難したとみられる人々など巨大災害の一端を写真と米国人記者の記事で伝える。専門家によると、明治三陸地震の被災を伝える写真は極めて少なく貴重な資料という。

 米国・ニューヨーク市近郊で発刊された週刊新聞「HARPER’S WEEKLY」の1896年8月8日号。新聞号外の収集家で、立命館大大学院生の小林宗之さん(28)=京都市上京区=が、海外のネットオークションで昨夏、入手した。

 同紙に掲載された明治三陸地震の写真は9枚。記事によると、発生から2~3日後に撮影したとみられる。

 写真は、破壊された家屋の木材で埋め尽くされた村、がれきの下の遺体を運ぶ労働者、埋葬される母親を見送る子ども、高台と見られる民家に避難する村人たち、赤十字の印の幕が玄関にかけられた病院の様子などを伝える。

 一般的に日刊や週刊の新聞や出版物は後世に残りにくい。同紙を発行していた会社は1916年になくなっており、国立国会図書館(東京都)のデータベースでも同日号は欠番になっている。

 立命館大歴史都市防災研究センターの北原糸子教授(災害史)は「明治三陸地震は被災地が宮城、岩手と首都圏から遠い上に交通の便も悪く、災害範囲が広いため、写真家がほとんど現地に入れず、写真資料が非常に少なく貴重。印刷された災害写真としても初期のものと見られ、意味がある」としている。

■明治三陸地震 1896(明治29)年6月15日午後7時32分に、岩手県釜石市の東方沖200キロを震源として起きたマグニチュード8・2~8・5の地震。陸地での最大震度は4とされるが、津波は本州における観測史上最高の38・2メートルを記録し、死者・行方不明者2万1959人、家屋流失9878戸という大被害をもたらした。

【 2012年04月10日 08時06分 】

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