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日本の皇位継承争いの世界史的な特異性

 日本の皇位継承問題を考えるとき不思議に思うのが、『実質的な権力を持たない皇位の継承でなぜ争いが起こるのか』ということである。

 現代では表立った継承争いはないが、過去おいては中世の南北朝をはじめ様々な皇位争いがあった。しかし歴史上日本の天皇は一部を除いて実質的な政治権力を持たず、あえて言うならば神輿として担がれる存在であり続けてきた。
 しかしよく冷静に考えれば、権力の無い皇位であればなぜ継承に際して争いが起こるのかという疑問が出てくる。例えば中国皇帝の様な政治的な最高権力の地位であれば、その継承に際して激しい権力闘争が起きるのも理解できる。しかし、中国皇帝が世俗政治の絶対権力であるのに対して、日本の天皇は基本的に政治権力を持たない祭司のような意味合いが強い存在である。いったい誰がそのような政治権力の無い不自由な地位に、自ら進んで就こうと考えるのだろう。

 思うに日本の皇位継承争いの特色とは、それぞれの継承候補者を担ぐ派閥勢力同士の権力闘争という意味合いを持つことではないだろうか。つまり、外国の王位継承争いのように継承する本人が中心となって政治的な権力闘争をするのではなく、日本の場合は継承候補者を担ぐ背後の支持者達の方が継承争いの実質的な主役なのである。その支持者とは古くは藤原氏や平氏であり、近代においては薩長勢力であったのだと思う。この点において日本の皇位継承争いの歴史は、世界史的な特異性を持つのではないだろうか。

 現在の日本においても皇位継承問題で対立が起きている。現在の天皇の直系であることを重視して女性天皇を指示する人々と、男系男子の伝統を守ろうとする人々との対立である。この対立は昨日の紀子さまご懐妊のニュースの前後から政治的な色彩を強め始め、皇位継承問題は『小泉VS反小泉』の政争の道具にされようとし始めている。
 このような現象は過去の日本の歴史において何度も繰り返されてきたことである。実際に皇位継承の当事者である皇太子さまやアヤノ宮さま達が、皇位継承問題をめぐって自らの希望を実現するために主体的に関与しているなどという事実は無い。全ては皇族とは関係の無いところで政治家たちが継承問題を政争の道具とし、女系容認派VS男系支持派に分かれて権力闘争をしているのである。

 この日本史上なんども繰り返されてきた継承争いの構図のなかに、天皇という地位の本質があるのだと思う。世界で最も長い歴史を持つ皇室がある日本。世界史的な視点から再認識されるその特異性はまだまだ他にもあるに違いないと思う。

テーマ:皇室典範について - ジャンル:政治・経済

2006.02.08 | Comments(0) | Trackback(0) | 歴史

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