国際通貨基金(IMF)に中国人の高官がまた一人、生まれる。副事務局長を務める林建海氏が22日、事務局長に昇格する。中国人がこのポストに就くのは初めてで、日本人も就いたことはない。IMFでは昨年、中国人初の副専務理事が誕生したばかりだ。
林氏は1955年生まれ。北京の大学を卒業後、米国に留学し、ジョージワシントン大で博士号(国際金融)を取得。89年にIMFに入り、順調に昇進してきた。事務局長は役員会にあたる理事会の切り盛りや加盟国との連絡を担う。日本のIMF勤務経験者は「やりようによっては強い力を持つポスト」という。
中国はIMFなど国際機関への出資を増やすと同時に「発言権」を強化するため、高いポストを求めている。欧州債務危機でもIMFを通じて支援する方針で、今後も中国出身の高官は増えそうだ。
中国など新興国は、欧米人が創設以来トップを務めるIMFや世界銀行の「世襲制」を批判。今夏に退任する世銀のゼーリック総裁の後任人事に注目が集まる。12日の会見で出馬意欲を問われた周小川・中国人民銀行総裁は「世銀はずっと米国人。G20で(世襲制をやめるように)調整を求めているがまだできておらず、考える必要はない」と、否定した。(北京=吉岡桂子)