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百度で検索された六四天安門事件の関連情報(同サイトスクリーンショット)

中国ネット情報封鎖に変化、禁止情報が検索可能に、政局変化を指摘する声も

 【大紀元日本3月23日】ここ数日間、中国政府のインターネット封鎖に変化が起こっている。これまで情報封鎖の対象だった、学生らによる民主運動「六四天安門事件」や、大陸で弾圧されている法輪功などの関連情報を一時的に検索可能になった。中国問題の専門家は、中国政権内部の権力闘争の大きな変化と指摘した。

 中国の大手情報検索サイト「百度」では21日から、これまでになかった六四天安門事件の情報を検索できるようになった。その検索結果の一覧には、「温家宝首相が六四天安門事件の再評価を何度も提起している」などのニュースが並んでいた。

 英紙フィナンシャル・タイムズ紙は中国最高指導部の情報筋の話として、次のことを報道した。温首相は中央の極秘内部会議で、異なる場所で3度にわたり六四天安門事件への正しい評価を提案した。しかし、その都度、他の幹部から反対されていた。最も強く異議を呈しているのは江沢民派閥のメンバーで、15日に解任された重慶市共産党委員会の薄煕来・元書記だったという。

 1989年に武力弾圧された大学生民主運動「六四天安門事件」のとき、当時の趙紫陽元総書記は大学生を同情し、武力弾圧を反対したため、ケ小平氏を中心とする元老たちの不満を買ってしまい、総書記などの政権の職務を全部解任された。そして15年間軟禁された末、2005年に死去した。

 同事件当時、中共中央弁公庁の主任だった温家宝氏は、趙元総書記に同行して、天安門広場に訪れて、ハンガー・ストライキーを行う大学生たちを慰問した。

 周知のとおり、江沢民がケ小平氏に認められて総書記に抜擢されたのは、当時大学生への武力弾圧を積極的に支持したためである。胡・温政権が率いる最高指導部が同事件を再評価するとなれば、江元総書記への責任追及も避けられないはずだ。

  また、1999年から江元総書記が弾圧政策を開始した気功法・法輪功について、百度では21日封鎖されている法輪功の公式サイトや、アメリカ拠点の華人芸術団・神韻のホームページも
百度で検索された法輪功の関連情報(同サイトスクリーンショット)
一時検索できるようになっていた。

 そのほか、中国国内ではアクセス不能な大紀元のウェブサイトも17日夜、一時的に解禁された。これまでネット封鎖を突破するソフトを利用してアクセスしていた利用者は「壁が崩壊したのか」「脱党者数はすでに1億を超えた」と興奮を隠せない様子だった。

 ネット解禁と政局変化

 情報、治安、司法、検察、公安などの部門を主管し、絶大な権力を有する中央政法委員会。その現職の周永康・書記も江沢民派閥の重要メンバーであり、今年10月に行われる予定の政権交代で、その次期後継者として、江沢民派閥は薄煕来氏を推進めていた。そのような中、薄煕来氏が15日重慶市共産党委員会の書記を解任されてから、ネット情報の封鎖に一連の変化が生じたことについて、米国在住の中国問題の専門家・石蔵山氏は次のように分析した。

 「法輪功問題は江沢民派閥が直面する最も肝心な問題である。江沢民・元総書記が1999年に弾圧を命令したとき、最高指導部のメンバーの多くは支持しなかった。だからこそ、その弾圧責任が追究されるのを避けるため、江沢民派閥は、中央政法委員会の絶大な権力を頑として離さない。六四天安門事件であろう、法輪功であろう、これらの情報を解禁する動きは、中国政局の大きな変化を予告している」。

 (記者・李暁宇、翻訳編集・叶子)

 (12/03/23 07:46)  





■キーワード
法輪功  六四天安門  ネット封鎖  薄煕来  江沢民  


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