東日本大震災の被災者を対象に続けている医療費の自己負担分の全額免除について、厚生労働省は、対象範囲を3月から縮小することを決めた。東京電力福島第一原発の事故による警戒区域などからの避難者を除き、サラリーマンとその家族は3月から、原則3割の自己負担に戻る。
現在、被災者のうち、住宅が全半壊したり家計を支えていた人が死亡・行方不明になったりした人や、原発事故で避難させられた人が医療機関で診療を受けた場合、窓口で払う自己負担分は全額免除となっている。ただ、2月末までの予定で、3月以降の対応が焦点となっていた。
厚労省は、避難生活の負担の重さを考え、福島県の警戒区域や計画的避難区域、特定避難勧奨地点から避難している人については、来年2月末まで全額免除を継続することにした。
警戒区域などからの避難者以外では、自営業者、退職者が多い国民健康保険や国民健康保険組合に加入している人と、後期高齢者医療制度の対象である75歳以上の人について、9月末まで全額免除を続ける方針。
一方、被用者保険に加入する会社員や公務員ら勤め人とその家族については全額免除を取りやめ、3月から従来通りの自己負担に戻る。
厚労省の担当者は「医療費の免除はもともと時限的な措置。サラリーマンは一定の収入を確保しているので本来の自己負担をしてもらうことにした」と話している。
所得などに応じて徴収される公的医療保険の保険料も、同じ条件で減免しているが、3月末で期限を迎える。地域を問わず勤め人は打ち切る。勤め人以外は継続し、警戒区域などからの避難者は来年3月まで、そのほかの地域の住民は今年9月までとする予定だ。(小林舞子)
福島第一原発の破綻を背景に、政府、官僚、東京電力、そして住民それぞれに迫った、記者たちの真実のリポート