シンガポール 2010年10月22日(金曜日)
クール日本展、企業も参加:最新技術・文化の輸出後押し[経済]
電通は21日、来月開催する東南アジア最大規模の日本のアニメ・ポップカルチャーイベント「アニメフェスティバル・アジア2010(AFAX)」の詳細内容を発表した。日本企業の最新技術を紹介する新コーナー「Cool Japan(クール・ジャパン)」でトヨタ自動車やキヤノンなどがシンガポール未発売の商品・技術を展示する。またイベントの一環として、国民的アイドルグループ「AKB48」がシンガポールで初のコンサートを開催することも明らかにした。
AFAXは来月13〜14日にサンテック国際会議&展示センターで開かれ、電通と地場マーケティング会社SOZOが共催する。3回目となる今年は初めて日本の文化・技術を紹介する「クール・ジャパン」と呼ばれるテーマゾーンを開設。トヨタと豊田通商は電気自動車や拡張現実感技術を利用したエンターテインメント・ツール、キヤノンは最新カメラやプリンター、ビデオカメラ、パナソニックは3Dビデオカメラや3Dテレビ、イトーキは洞爺湖サミットで使用されたという人間工学に基づいた椅子などをそれぞれ展示する。来場者に実際に体験してもらうことで、日本企業の持つトップレベルの技術を広く知ってもらうのが狙い。
同日開かれた記者会見で、電通アジアの担当者はNNAの取材に対し「ほかの企業とも出展交渉を進めており、参加企業は今後も増える見通し。日本企業が一致団結して海外市場を開拓しようという機運を高めるため、今回初めて製品紹介コーナーを開設した」と話した。
またゲーム・コーナーでは今年初参加のセガがソニーのプレイステーション用の人気音楽ゲーム「初音ミク・プロジェクトディーバ」のゲーム機を出品するほか、カードゲーム大手ブシロードもプレイステーション用ゲームソフト「ミルキィホームズ」を東南アジアで初めて発売。写真コーナーでは、キヤノンはコスプレなど撮影ワークショップなども開催する。
このほか日本の音楽、ファッション、アニメ産業などで活躍する著名人が講演する「クール・ジャパン」フォーラムでは、AKB48などのプロデュースで知られる作詞家の秋元康氏などが出席する予定。これに伴い来月12日にはAKB48が初のコンサートを行う。海外公演はこれまで、北京、パリ、ニューヨークなどで開かれているが、東南アジアでは初めて。「秋元氏が『東南アジアでやるなら域内のほかの国・地域への波及効果が高いシンガポールでやりたい』との意向を示していた」(同担当者)という。
■アニメツアーも開催
このほか今回初の試みとして、地場旅行会社CTCトラベルが「東京アニメツアー」と題し、東京国際アニメフェアやジブリ美術館などアニメにゆかりの深い場所を訪れる旅行商品を販売する。またAFAX開催に合わせ、日本アセアンセンターは「コンテンツ産業発展のための日本アセアンフォーラム・ポップカルチャーのフュージョン」と題したフォーラムを開催する。
AFAXでは期間を通じて日本のアニメ、文化に関するライブや物販、展示などが行われる。昨年は域内を中心に約5万2,000人が来場した。昨年を上回る規模で開催される今年は、来場者数も昨年を越えるとみられる。
日本政府は、6月に発表した新成長戦略の一環として日本文化の輸出を促進する「クール・ジャパン」推進体制を整備し、2020年にアジア市場でコンテンツ収入1兆円を確保する目標を掲げている。