また専門性のレベルにも差があるため、同じ判断を行う役割でも結果に大きな違いが生じる。
米国の911担当者は、事故や犯罪の状況を素早く把握し、通報した被害者の声や表現の仕方から危険度や緊急性を判断する。さらに出動する警察官や消防官、救急隊員の人数を決めるのも911担当者の役目だ。事故の負傷者から通報が入った場合は、現場に救急隊員が到着するまでの応急措置についても説明する。
そのため米国や英国などでは、通報時に通報者の声で危険度や緊急性を判断する教育を徹底して受ける。声を聞いた担当者がすかさず現場の状況を判断し、危険度をランク付けする。今月1日に発生した事件の被害者Aさんの悲鳴を聞いても「夫婦げんかのようだ」などとコメントした韓国の警察官とはまったく次元が異なる。
韓国の112通報システムの構造的な問題点のうち、典型的なのは112内部の複雑な仕組みにある。「智洞小学校を少し過ぎてからモッコル公園に向かう道沿い」「モッコル公園前の“家”」「今、性的暴行に遭っている」という通報内容が、112センターから警察官に指示される際には「智洞小学校で性的暴行に遭っている。知らない人間だ。正確な位置は分からない」というようになってしまう。
上記の警察官への指示には、「家の中」という表現が抜け落ちていた。そのため実際の事件でも1分1秒を争う緊急の状況で、警察官は「家」を探さず公園や小学校の運動場ばかり捜索した。竜仁大学警察行政学科のパク・ヒョンホ教授は「米国や英国など先進国では、担当者は専門的な教育を受けて現場の状況を分析し、警察官が出動する際の緊急対応のレベルを決める。事件が発生した際、最初に現場の状況をイメージする担当者の役割は非常に重要だ」と述べた。
米国は911に通報が入った際、通報者の位置を自動的に把握するシステムを導入している。通報者が電話で通話できない状況(拉致など)でも、警察官を現場に送り込むことが可能になるのだ。
趙顕五(チョ・ヒョンオ)警察庁長は7日に開催された全国警察画像会議で「112センターと警察暑のシチュエーションルームの仕組みを全面的に見直す」と語った。