女坂を上り切り、後ろを振り返った眺望だ。眼下に、不忍池が雪の中にぽっかり浮かんでいる、何とも美しい光景である。
江戸と言うと関東平野のイメージだが、神田明神曙の景と同様、この絵も山から見下ろしている。
地形図
真ん中やや下に不忍池を配置した。その左下に『17』の文字が見えるがその辺りが湯島天神である。本郷台地の東の端にあるのだ。因みに、その南を東西に流れている、本郷台地を削り取って流れているのが神田川である。
しかし、不忍池から北に行く低地は完全に川跡だ。不忍池は河口部、そこから先は海であったのだろう。日本武尊伝説が残るのも頷ける。
さて、江戸三大天神は、名所江戸百景でも描かれている亀戸天神、八王子の谷保天神、そしてこの湯島天神と言いたいところだが、湯島天神は外れている。先回の五條天神がもう一つである・・・と、思ったら五條の代わりに湯島という説もあるようだ。
湯島天神は 雄略天皇2年(458年)一月 勅命により創建と伝えられていると言うから相当に古い。天之手力雄命を奉斎したのがはじまりで、正平10年(1355年)二月に菅公をあわせて奉祀している。
安政5年(1858年)の地図
真ん中に湯島天神を配置した。下谷広小路から西へ真っ直ぐ行くとそのまま男坂に当たる。北には女坂。ここを上り振り返ると不忍池。
現在の地図
より大きな地図で 湯島天神坂上眺望 を表示
ブルー・ポイントが湯島天神、赤ポイントが広重の推定立ち位置、赤ラインが推定視線向きである。
そこでの写真
マンションが邪魔だ。
最後に、江戸名所図会
以上