菅直人前首相が先月末、スイスで開かれた世界経済フォーラムの年次総会(ダボス会議)に出席した際、海外メディアから失笑されていたことが分かった。政府関係者が明らかにした。福島第1原発事故を悪化させた最高責任者でありながら、まるで英雄気取りだったというのだ。
「東日本大震災や原発事故の現状を報告してほしい」
野田佳彦首相からこう要請され、代理出席した菅氏。会議直前に、米紙ウォールストリート・ジャーナルの取材を受け、「原子力エネルギーに頼る必要のない世界を目指すべき」などと発言。これらの反応を受け、「これで俺も平和に貢献した英雄だ」とばかり、得意気になっていたという。
ところが、海外メディアの中には、菅政権が原発事故収束に時間がかかったことの総括や、日本の原発技術をベトナムやトルコに売り込んでいたこととの整合性、ソーラーパネルの1000万戸設置計画などの進捗(しんちょく)状況を聞こうとする記者もいたが…。
「菅氏は有頂天になって抽象的な話を繰り返すだけで、具体的な説明はゼロ。記者らは『これ以上聞いても無駄だ』とあきれたのか、同行した日本の官僚らに『前首相の発言の意味が分からない』『本当はどうなのか?』といった問い合わせが相次いだらしい」(政府関係者)
これで首相代理の役割が果たせたのか。
菅氏は最近、党最高顧問として「新エネルギー政策」を担当することが決まったという。民主党はどこまで冗談が過ぎるのか。(政治ジャーナリスト・宇田川敬介)