厚生労働省は3月30日、飲食店が生の牛レバー(肝臓)を「レバ刺し」などとして提供することを法的に禁止する方針を決めた。6月にも施行する方針だという。違反すれば懲役2年以下の刑が科される。
このニュースを聞いて私は開いた口が塞がらなかった。
食中毒を防ぐ目的というが、きっかけは昨年起こった焼肉チェーン店による死亡事故に端を発する。一事業者が死亡事故を起こしたから、他を全て禁止するという方向が果たして正しいのか。
「車の交通事故が起きるから、車に乗るのを禁止しよう」というのに論理的には近い。
会社を創業する前に修行していたお店でも、新鮮なレバーが入ると刺身で提供していた。売れ残った分は次の日に串焼きにする。現場では工夫して事故を起こさないようにしているのだ。聞けば生レバーの食中毒は年間10件ほど。食中毒全体の1%程度、という。それで、禁止というのは納得できない。
たまたま、不心得者がいたら全て禁止するというのはまったくおかしい。
食はまさに文化だ。その土地土地に長い間かかって根づいたもの。官の規制にはそもそも馴染まない。
こんなところで、官を張りきらせてはいけない。
ある中央官庁の役人が「ひまで仕方ない」と自嘲気味に言っていた。官は必要な存在だ。優秀な彼らを国民に幸せのためだけに働いてもらうべきだ。それこそ政治主導。
無用な規制に走る役人、ひまで仕方がない役人。
ボタンの掛け違いは大きい。