第198回「マネジメントシリーズ(1)モラル崩壊」
ドラッガーのマネジメント理論が大流行している。どこの本屋に行ってもドラッガーと名の付く本が平積みになっている。中には高校野球に因んでドラッガー理論を判り易くイラストにした本まである。
別にそれ自体は結構だが、福祉の世界でもドラッガーのマネジメント理論を取り入れようとしているところは多い。少しでもいい組織運営をしようとしている努力は立派だが、悲しいかな福祉にまともな組織運営をしているところははっきり言って少ない。理論は立派でもやっている事はドラッガーに失礼じゃないかと言われても仕方がないところばっかりだ。
俺がかつて勤めていた施設にも見るのはマネジメントではなく、不正や腐敗が蔓延るチーム崩壊のところばかりだった。きちんとした介護サービスを提供するどころか一人ひとりが身勝手な行動を取るなど、まるでソ連崩壊後のようにケイオス状態になっている組織も少なくない。介護施設や事業所がどんな状態なのかは外部から見ただけでは素人には判りにくい。マネジメントがない施設がどんなものなのか紹介しよう。今回はまずマネジメントシリーズ(1)モラル崩壊から紹介しよう。
福祉施設は優しくて正義感が強く、真面目で品行方正な人間が多いというイメージが先行している。そして当の福祉関係者もそのイメージについて自尊心をくすぐられているところがある。実際、外から見た印象では福祉関係者は善良そうに見える人が少なくない。だが、俺が実際見た福祉関係者は一皮剥げばろくでもない偽善者が非常に多い。倫理観や道徳を喪失した人間こそ福祉関係者ではないのかと思うほどだ。
(1)ディシプリンがない施設
ディシプリンとは英語で規律の事だが、信じられないことに職場のルールや約束事ばかりか社会の法律さえ守らない職員がどこの施設にも存在する。モラルがないと言うと虐待などを思い出しそうだが、社会福祉施設では表沙汰にならない形でモラル崩壊が進む。以下にモラルの欠けたろくでなし福祉関係者を紹介しよう。
・休憩時間でもないのに煙草を吸っている
・ナースコールに意図的に応答しない
・幹部職員にごますり報告をしていて介護業務を1時間放棄
・決められた時間に援助をしていないのにしたと記録する
・入浴介助の時、洗髪をしなかったり体を洗わないなど手を抜く。
・誤薬など事故を起こしても報告しない。
・利用者からの呼びかけを無視する
言っておくがこんなものほんの序の口だ。福祉職員の善良そうなイメージから信じられないだろうが、こんなろくでなしは施設にざらにいる。もっと酷いのになると施設の物品を持って帰ることや利用者や同僚の財布などを盗むなど犯罪行為まで働く奴までいる。
先日も宝塚の施設で利用者の金を着服した容疑で逮捕された職員がいたばかりだ。他にも利用者に熱湯シャワーを浴びせて傷害致死で逮捕された介護職員がいたが、表沙汰になるような虐待や事件の裏には巧みに偽装された不作為や虚偽がその何十倍も潜んでいる。新聞沙汰にならなくても盗難や横領が絶えないのが福祉施設なのだ。言っておくが私物のコピーや携帯充電、私用でのネットサーフィンも厳密には横領だ。勿論この程度では現実的に罪に問われることなど無いが、無自覚なのは危険だ。
もはや福祉施設=モラルが高いとは言えない事が判っていただけたと思うが、最大の疑問は福祉施設はなぜこれだけ堕落するのかだろう。その理由は来週語ろう。
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2011-08-31 17:36
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