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「労組私物化」に真実相当性 東京高裁、講談社の賠償減額
労働組合を私物化して列車の運行を妨げたなどとする週刊現代の記事で名誉を傷つけられたとして、元JR東労組委員長の松崎明氏が発行元の講談社などに1億1千万円の損害賠償などを求めた訴訟の控訴審判決が10月27日、東京高裁であった。春日通良裁判長は、2009年10月の一審東京地裁が名誉棄損と認定した組合の私物化に関する記述について真実相当性を認め、550万円の支払いを命じた一審判決を変更し、賠償額を330万円に減らした。
問題となった記事は、「テロリストに乗っ取られたJR東日本の真実」というタイトルで06年7月から07年1月までに計24回連載された。このうち、組合の私物化に関する記事について、JR総連とJR東労組が設置した口座に松崎氏名義で振り込まれた金の一部が、同氏個人名義の別荘の購入に充てられたなどの事実から、春日裁判長は「公私混同と言わざるを得ない」と判断。真実と信じる相当の理由があったと認めた。
一方、松崎氏が「JR東労組による列車妨害を松崎氏が指導したとの印象を与えた」と指摘する点について、講談社側は「そのような記述は存在しない」と主張したが、春日裁判長は「文脈などから想像できる」と退けた。松崎氏が革マル派の最高幹部であるとする記述や組合費を横領したとする部分については、一審同様、真実相当性を認めた。