| 阿藤好文（通称「こうぶん」）が、徒然なるままに好き放題書いてゆく。お気軽にコメントとか拍手とか頂けるととっても喜びます。励みになりますので。 | ||
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| HOME | 2012.03.27 Tue０−４−１１、桂守スニーキング／母校からの影（１１）
久々の更新でござる。
本当に久々。 しかし止まってはいなかった。 この調子で最期まで……！！ 脱兎の如くとは言ったもので。 「腕っ節には自信ないけど、足を使えばこんなもんよ」 俺は別段、徒競走が得意なわけではない。だが逃げ足だけはなかなかのもんだ。短距離走も長距離マラソンも苦手だが、なぜか障害物競走では負けたことがほとんどない。 実用的な逃げの達人である。 「自分で言ってて悲しいな……っと！？」 後方を気にして小走りしていたので、ふと前を向くと、ほぼ目と鼻の先に女生徒が迫っていた。下手に減速すると、つんのめって結局当たってしまう。なので適度に歩を緩めつつ人一人分横に進路変更して上手くかわした。それでもやっぱり驚いたようで、女生徒に「ひゃっ」と小さな悲鳴を上げさせてしまった。 「あ。すいません！」 軽く謝りつつ、気持ち速度を上げながら目の前の階段に向かう。 ふと気になって女生徒の方を振り返ってみると、目を見開いてずっと俺の方を見ていた。 見ていた、というか。 「……」 なんだろう、凝視されていた……？ 「っ」 背筋に冷たいものが這ったが、深く考えないようにしよう。顔を覚えられて、悪い噂でも立ってしまうのだろうか……そうだったらやだなぁ。 後ろ髪引かれる思いを抱きつつ、俺は階段の踊り場に視線を向けた。 「あっ」 そして偶然見つけた。 「畑本……！」 大山妹から尻尾巻いて逃げ出したのが上手く回ったらしい。早めにこの窓からあいつを見つけることが出来た。とっととあいつの所まで行って、放置してたこと謝っとかないとな。まぁ……勝手に行っちまうあいつもあいつだが。「……うん？」 俺がいた三階（演劇部の部室は三階にある）から二階に降りて、その階からもう一度窓で畑本の位置を確認する。てっきりうろうろしてるかと思ったが、どうも様子が変だ。さっきから全然動いていない。「独りで怨霊ごっこでも」とか言いながら本当に一人で行っちまったが、あんな所でいったいなにを物思いにふけってるっていうんだ？ マジで怨霊ごっこやってるわけでもあるまいし。……うつむいているあいつからはなにも読みとれない。 おい、どうしたんだよ畑本……？ 肺のあたりでもやもやする不安をなんとか抑えつつ、俺は畑本を見かけた校舎裏にたどり着いた。 畑本はすぐに見つかった。相変わらずのうつむいた姿勢でいる。 「おい、どうした畑本」 すぐ近くまで来ているのにまるで反応しない。そんな畑本の態度に、焦燥がつのる。どうせなら「おっせーぞチョウジ！」ぐらいわめいて、すねたようにそっぽを向いてほしい。 なのに。 ――あ、チョウジ……。 こいつは、そっと似合わない苦笑いをするだけだった。「……なにがあった」 学校での畑本がどうとか、事故がどうとか、そんなことを考えている場合じゃない。 俺が知りたいのは、目の前の畑本になにがあったか、なんだ。 ――あぁ、いやぁ……なんだねぇ。 「それで笑ってるつもりかよ、頬ひきつってるぞ」 ――げ。 一層強く頬をひきつらせ、畑本が黙る。何かを誤魔化そうとしている。それでいて、誤魔化してはいけないと思ってる。 そうなんじゃないか、畑本。 「何があったんだ……って、さっきから聞いてる。言いにくいことなら、後で聞くからさ、ひとまず戻ろうぜ。ちょっと聞きたいことが――」 ――オレの交通事故の話か？ 「え……」 ――当たり、かな。 畑本が疲れ果てたように笑う。というより、何かを放り投げるのを必死に我慢しているように……笑ってる。 ――死んでた。 「あ？」 ――オレ、死んでた。交通事故で。 「そんな」 あっさり言うなよ、嘘だろ……。 ――ここがさ、どうもオレに縁のある場所みたいなんだよな。それで、だいたい思い出した。オレはここから走って校外に飛び出して、車にはねられて死んでる。ご丁寧に「畑本家」って彫られたお墓の映像まで頭ん中流れ込んできたよ。 「待て待て待て待て、見たことある映画のシーンとかとごっちゃになってるんじゃないのか？ それか、ダメな感じに記憶つなげただけで――」 ――ぶつかったとき、すげー痛かったの覚えてるけど？ 「……」 無茶な理屈だっていうのは俺も分かってるつもりだ。わざわざこんな場所でフラッシュバックするような記憶が、畑本が「こんなに」なった理由と絡んでないわけがない。 なのに俺は今、必死に否定してる。これは何かの間違いだって思いこもうとしてる。そうじゃなきゃ困ると思ってる。 ……そうでないと、俺達が思い描いていた「もしも」が崩れ去ってしまうからだ。 ――ごーるいん、かな。こりゃ。 そんなわけないだろう。 ――だって、どうしてこうなったか知りたかったんだもんな、オレ。 本当にそんな頼みだったかよ。 ――道路に飛び出して交通事故に遭いました。それでオレは死んじゃって、幽霊になってさまよってましたってわけだ。脳天気に死んだことも忘れてさぁ。 畑本は吐き捨てるように「ばっかじゃねーの」と言ったきり、黙ってしまった。 ゴールイン？ これで？ なんで？ だって、あんまりじゃないか。人がなんのために面倒事を引き受けたと思っているんだ。 バッドエンドじゃないか、コレ。 ――そんな顔すんなよ、チョウジ。 「そんな顔ってなぁ、おま……」 あれ、おかしいぞ、なんか、声が。 かすれてる？ ――ありがと、泣いてくれて。 泣いてない。 そういってやりたいのに声がでない。 俺は泣いてないだろ。だって、涙で視界が滲んでなんかいない。俺にはお前がはっきり見えてる。 はっきりとお前が見えてる！ ――死んじまってたってんならぁ……まぁ、しゃーねぇ。幽霊だったもんな。よく考えたら、これが普通なんだろ。 それはそうかもしれない。 だって幽霊だから。というより、幽霊として出てこられてるのがまず奇跡に近い。 ――これは神様がくれた、ボーナスステージだったのかもしれねー。……悪かったなぁ、オレのしょーもないおまけに付き合わせて。 そう言って、畑本は少しだけ俺から距離を置く。腕を後ろで組んで、ちょっと前かがみになりながら。 「……？」 ――『もしも』生きてたら、いろいろやりたかったんだけどさ〜……どーも無理っぽいし、でもさ、一つだけ。一つだけ、やりたかったことがあるんだ。 畑本はくるっと、身体をひねるように一回転。やる必要があるのかどうかは知らないが、こいつが服装を替えるときの仕草だ。 なんでそれをこんな時に。 「あ……」 ふわっと頬を風がなでたような、そんな優しい感覚がした。あいつが回ったところで、風なんか起こるわけないのに。 ――オレだってさー、本当はこんな服、着てみたかったんだぜ？ そう言って畑本が着替えて見せたのは、白地でほのかに水色の浮かぶ、清潔そうなワンピース。いかにも女の子らしい、そして夏らしい服装だ。 ――どう？ 似合う？ 言葉が出ない。喉がいうことを聞いてくれないから。 だから代わりに精一杯微笑んで見せた。 ――そっか、よかったー。これで馬子にも衣装とか言われた日にはね。 屈託なく笑う畑本はもう、何かを振り切ったような清々しさがあった。 これでは「未練はないのか？」なんて聞けたもんじゃない。 ――お前に会えてよかったよ、チョウジ。せめて最後に良い思い出が出来たわ。 すうっと、畑本の透明度が高くなる。ここまでくれば流石の俺にだって分かるさ。 「……消えちまうのか」 なんとかそう絞り出す。 ――まぁ、成仏するんじゃないかなぁ。わかんねーけど。「もっといたいとか思わないのかよ」 ――……そりゃ、メーワクってもんだよ。 「俺は……」 ――いいんだよチョウジ。これはオレのわがままだから。「わがまま？」 ――そう、オレのわがまま。 お前のわがままって、なんだ。わがままっていうのは、「現世に残りたい！！」とか、そういう類の感情なんじゃないのか。 何で素直に成仏するのがわがままなんだ？ ――ありがとう、チョウジ。 後もう少しだけ。 後もう少しだけでいいから、生身の身体でお前と遊びたかったなぁ。 いかがだったでしょうか。 ついに響子の退場です。 あんまり文に重みが無いのは自分の未熟さゆえでございます……。 この作品と付き合いつつ、見返しつつ、いろいろ考えていこうと思います。 おっと、話はまだ終わってませんよ？ だってまだ澄時なにもしてないし。 ここからですよ。 ここからですよ。 リトルバッドエンド。その続きは？ したらばまたその内！！ 軽小説部で遭いましょう０ Comment(8) TrackBack(0) Top↑ ≪04/08のツイートまとめ | Home | ０−４−１０、桂守スニーキング／母校からの影（１０）≫ Comment
おはようございます Posted by まねきぬこ
もういい加減、あなたには批判が通じない事が分かりましたので、真面目にコメント差し上げます。
まず、あなたが好きで創作するのは結構、自己満でされるのも結構。 ですが、あなたがたまにされる自意識過剰な呟きや創作論？について、いちいち説得力が無い事をそろそろ自覚なさい。
2012.04.09 Mon 10:20 URL [ Edit ]
Posted by まねきぬこ
あなたがされる創作論やコメントに説得力を持たせたいのならば、それなりに説得力のある作品を仕上げなさいと言いたいのです。
他人から見れば、あなたは完全に口だけの人間にしか見えませんし、例え趣味で好きでやっている事であっても、説得力のある人間の発言と説得力の無い人間の発言では雲泥の差ですからね。 それは自覚なさい。
2012.04.09 Mon 10:30 URL [ Edit ]
Posted by まねきぬこ
それから、さらに具体的にアドバイスすると、
あなたは何か長編ものを書こうとしているみたいですが、ハッキリ言って素人に長編は無謀です。 小さいイラストすら書けない絵師が巨大絵を書けると思いますか？ 単品すら作れない料理人が全席料理を作れますか？ 短距離走もまともに走れない選手がマラソンを走れますか？ 無理ですよね。 ですからあなたはまず、ちゃんとした説得力のある短編を書く必要があります。 長編はまだまだあなたには早いですよ。 それも自覚なさい。 あなたはまず短編で小説の、文章の全体像を掴みなさい。 もし書いたら、笑わずに真面目にアドバイス差し上げますから、ちゃんとそれを聞きなさい。 わたしはあなたが良い作品を書けるようになる事を望んでいますから。 頑張ってください。
2012.04.09 Mon 10:43 URL [ Edit ]
Re: タイトルなし Posted by 阿藤好文（こうぶん）
>まねきねこさん
返事は返ったらする。でも、あんたが望む答え方じゃないと思う。 ツッコミ所も自分なりに言わせてもらうよ。 あくまで自分なりにだから、参考にしてもらう必要もないし、見なかったことにしてくれればいい。 でも、ひとつだけ。 どこの誰かも分からない、どんな話を書いてるのか、どれだけ書いているかも分からないような人に、 何信じろっていうの？ 聞くだけ聞いておいて、自分知ってるのはまねきねこって名前だけなんだけど。 (当然、そんな人に敬語なんて使えないよ)
2012.04.09 Mon 12:57 URL [ Edit ]
Posted by まねきぬこ
もうあなたには失望しっぱなしです
こちらが妥協を繰り返し、怒りを抑えて真剣に優しくアドバイスしているにも関わらずですね 10年も続けてるのに未だに中学生素人が書いた感想文みたいな落書きしか書けない人間に 「どんだけ書ける人か分からないから信じられない」と言われる方の気持ちにもなってみてくださいね。 あなた、自分がどれだけ説得力の無い人間か自覚しなさいよ。 あなたには、匿名の意見を受け入れるという器も脳みそも無いのですか？ 私の作品をあなたに見せる必要などありません。 それに、私がどれだけ書けるのかなんて、これから判断すればいいだけの事でしょう。
2012.04.09 Mon 16:00 URL [ Edit ]
Posted by まねきぬこ
それにあなた、ネット上の批判などまだマシだと思ったほうがいい。
なぜなら、ここで予言しておきます。 あなたはそのうち、信頼している人間に面と向かって「お前は口だけは偉そうな事言ってるけど、実際書けてない」 と言われる日が来ますよ。 いざその時がきたら、あなた耐えられますか？ そんなのいやでしょう？ ですから、騙されたと思って、ネット上の批判やアドバイスは一度ありがたく受け入れて、ちゃんと省みなさい。 前も書きましたが、他人の批判っていうのは、何よりも純粋な意見なんです。 それを無駄にするつもりですか？ そしてあなたは一見、謙虚な人間を装っていますが、潜在意識下では、誰よりも他人を見下していて、誰よりも傲慢である事を自覚しなさい。 でないと、先に進めませんよ？
2012.04.09 Mon 16:53 URL [ Edit ]
Re: タイトルなし Posted by 阿藤好文（こうぶん）
＞まねきねこさん
様々な要素を検証した結果、どこまで切羽詰まってもあんたを選ぶ必要がない事が分かりました。 さよなら近寄るなとのたまったならちゃんと行動で示して下さい。 行間も読めないのに独りで頑張らないで下さい。 あなたに学ぶぐらいならご近所のカナちゃんに学びます。 他の誰があなたを必要としても、自分だけはあなたなんて要りません。 ネットの匿名ではなく貴方が不要です。 この大嘘つき。
2012.04.09 Mon 18:52 URL [ Edit ]
Re: タイトルなし Posted by 阿藤好文（こうぶん）
＞まねきぬこさん
ごめん、あなたの名前まねきねこだと思ってたけど まねきぬこだった。 そこの部分は本当にごめん。
2012.04.09 Mon 18:59 URL [ Edit ]
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