リン人気　ＭＳＧに中国語踊るか (3/3ページ)

　現在ＭＳＧが提示している広告料は、レギュラーシーズンのＣＭが最大２万５０００ドル（約２１０万円）、プレーオフシーズンのスポットＣＭが最大４万ドルで、昨シーズンの２～３倍である。米証券会社、ミラー・タバクのメディア・アナリストのデビッド・ジョイス氏によれば、ＭＳＧは今四半期、番組配信料として２５００万ドル、広告料として１３００万ドルを得る見通しだ。

　プロスポーツチームが試合に勝つことは重要だ。ただしオニール社長や、ワッサーマン・メディア・グループの提携・事業開発担当プレジデントのジョン・ブロディ氏は、リン選手のファンの関心はそれだけではないと考えている。同選手のアジア系という立場、ハーバード大卒という経歴、順風満帆ではないキャリアという要素には、一過性ではなく幅広い人々に訴えかける魅力があるという。

　ブロディ氏は「企業は彼の人間性と結びついたストーリーに近づくチャンスを切望している。バスケットボールファン、アイビー・リーグの選手たち、そして郵便局員であれＮＢＡ選手であれ、キャリアで挫折を味わった人たちは、それぞれが自分と彼を重ね合わせることができる。彼は２１世紀のサクセスストーリーであり、世界はフラットなのだということを証明してみせた」と述べた。

　またオニール社長によれば、リン選手の人気はデジタル世界のファンに支えられ、短文投稿サイト「ツイッター」などのソーシャルメディアで世界に広がっている。新しいテクノロジーの利用者は若い世代が多く、リン選手の人気によって新たなファン層が開拓されたという。

　中国企業との提携を模索する外国企業はしばしば困難に直面するが、同社長は不安を抱いていないという。「スポーツ界の歴史で、これほど中国に進出しやすい時期は今をおいてないと思う。ジェレミーがわれわれの名刺代わりだ」と述べた（ブルームバーグ　Ｓｃｏｔｔ　Ｓｏｓｈｎｉｃｋ）