日本学術会議は9日、東日本大震災からの復興に向けた提言を発表した。東京電力福島第1原子力発電所の事故に伴う被災地の除染作業は、住民の帰還後も目標を設定して継続すべきと指摘。また復興にメドがついた段階で復興庁を「減災庁」に改組し、常設の司令塔として災害対策にあたるように求めた。
「今、復興の力強い歩みを」と題した提言は、街づくりや産業振興、放射線対策、がれきなど災害廃棄物の広域処理について専門家の意見を盛り込んだ。政府側に提出し、被災地にも説明する。
放射線対策では、放射線量が年間20ミリシーベルト以下になり、住民の帰還が可能になる地域でも、その後一切除染しなければ、30年間の累積の被曝(ひばく)線量が200ミリシーベルトを超えると試算。一方、帰還後5年間除染を続ければ被曝線量を半分程度に抑えられると指摘した。
減災庁は全国の市町村がまとめた津波や土砂崩れなどの被害想定を点検し、災害対策の重点化を図るなどの機能を持たせる。災害後の復旧復興に向けた司令塔の役割も求めた。
がれきなどの処理については、国に対し「まず広域処理ありきの姿勢にならないよう留意する」ことを要望。雇用をもたらすことを想定して被災自治体での処理を優先し、政府は再利用や焼却処分の技術・財政支援をしていくべきだとした。
東京電力、福島第1原子力発電所、減災庁
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