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【社会】

火力増強で税収増? 立地自治体が皮算用

2012年4月8日 14時23分

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 ほとんどの原発がストップし、電力不足に備えて東京電力が東京湾沿岸の火力発電所の設備を次々と強化したことを受け、周辺自治体が税収アップに期待を寄せている。設備が増強されれば当然、資産価値が上がり、あわよくば億単位で税収が増えると皮算用する税務担当者もいる。ただ、東電の申告が遅れており、課税額は未定。「いつになるのか」と不安の声も出ている。 (岡本太)

 東電は福島第一原発の事故以降、東京湾沿岸の五つの火力発電所にガスタービンやディーゼルの発電設備計百十一基を新設。原発約一基分に当たる計百十二万キロワットの発電力を増強した。新設の設備には固定資産税がかかり、そこに地元自治体の期待が集まる。

 千葉火力発電所(千葉市)には天然ガスを燃料とする三十三万キロワットガスタービンが二基設置され、昨夏から運転を始めている。

 東電の投資額は不明だが、発電規模からすると千葉市には十億円程度の固定資産税が入ってもおかしくない。今回は簡易な設備ではあるが、全体的な固定資産税の減収を見込む市は「その一部でも入ってくれば大きい」と期待する。

 東京都品川区の大井火力発電所には、都市ガスを燃料とする八万キロワットと十三万キロワットのガスタービン二基が新設された。都は億単位の増収になる可能性もある。姉崎火力発電所のある千葉県市原市と、袖ケ浦火力発電所のある袖ケ浦市、川崎発電所のある川崎市も税収増を見込んでいる。

 ただ、具体的な課税額はどの自治体も「まったく分からない」という。

 例年なら三月下旬には総務省を通じて課税額が通知されるが、今年は福島第一原発事故の影響もあり、東電の資産申告自体が遅れているためだ。一月末の期限から二カ月以上たった今も申告は行われておらず、市や都はやきもきしている。

 福島事故の思わぬ余波に、市原市の税務担当者は「現状では増収分だけでなく従来の部分も課税できない。あまり長く続くと困る」と懸念。東電は「確定次第、速やかに申告したい」としている。

(東京新聞)

 

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