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help RSS 25人目の男―アメリカンアイドル シーズン11

<<   作成日時 : 2012/03/18 17:30   >>

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アメリカンアイドル シーズン11も準決勝に入り、観客の前で、そして視聴者投票にさらされることになった。初日は男性、2日目は女性のコンペティターがパフォーマンスを披露する。以前準決勝は3週にわたって毎週男2人、女2人が落とされ、最終的に12人のファイナリストを選んでいたのだが、シーズン8は準決勝進出者を36人選ばれており、男女混合の3つのグループに分かれてそれぞれのグループの上位3人に選ばれた者は優先的にファイナリストになり、ワイルドカードで選ばれた中からランディ・ジャクソン、ポーラ・アブドゥル、サイモン・コーウェルの3人が1人ずつ最終選考に残るメンバーを選ぶのだが、12人選ばれた後でアヌープ・デサイが13人目の男として特例でファイナルに進出した。これが特例措置の始まりであり、またジャッジによる救済制度が始まったのもこの年からで、ピアノマン、マット・ジローが最初に救済措置の対象者となった。

シーズン10から準決勝は24人で1回のみ。男女それぞれ視聴者投票上位5位のコンペティターがファイナリスト、ワイルドカードで2人選ぶ方式になった。それが今年も継続したのだが、ただサプライズの例外措置として男性の回に登場したのが25人目の男、ジャーメイン・ジョーンズだった。ジェントル・ジャイアント(優しい、物静かな巨人)と呼ばれ、これまでになかったバリトン・ヴォイスが魅力だ。ただこのジェントル・ジャイアントがアメリカンアイドルで失格になったことが全米のメディアでニュースになった。ジャーメインはツイッタ―で自分がショ―に出演することができなくなったとツイートしたらしいのだが、原因は過去の複数の犯罪歴が発覚したこと、警察に嘘の名前を言ったこと等が原因らしいということだが、ナイジェル・リスゴーとケン・ウォリックの2人のプロデューサーの言い分とジャーメインの言い分が食い違うので真相は藪の中である。

プロディーサーたちは犯罪歴が問題ではなく、ジャーメインが自分たちに本当のことを言わなかったことが問題だと言い、彼をTOP25に選んだ理由は深いバリトンの声が魅力的だったと語っているのだが、過去の犯罪歴というのはケンカの申し立てと無免許運転によるもので、あくまでも軽犯罪であり、自分の犯罪歴もアメリカンアイドルの地方予選でちゃんとプロデューサーに話しており、プロデューサーから失格を言い渡された時は屈辱を感じたという。

American Idol Producers Explain Why Jermaine Jones Was Disqualified (VIDEO)
ナイジェルとケン・ウォリックが電話インタビューを受けている。
http://www.wetpaint.com/american-idol/video/american-idol-producers-explain-why-jermaine-jones-was-disqualified-video

どちらの言い分が正しいのかわからない。視聴者まで傷つけることが一番最悪なのだが、ジャーメインが失格になった後のアメリカンアイドルの視聴率は1位だったらしく、プロデューサーが視聴率獲得のためにジャーメインを戻した揚句に今度は失格させて話題作りをしたのではないかと考えるファンもいたようで、さすがにそれはないにしても、ジャーメインを愛し、彼がアメリカンアイドルに戻るべきだと考えるファンがいることは救われる。いずれにせよジャーメインは今回多くの人に知ってもらったバリトンの魅力がキャリアを活かせれば良いと思った。

Jermaine Jones - Dance with My Father
この曲は昨年のファイナリスト、ジェイコブ・ラスクも歌っていて、彼は高音を活かすタイプなので、どちらが良いかは好みの問題だが、高音ディーバ系主流のコンペティションにおいてジャーメインのバリトンの声は魅力があると思う。ただしこのパフォーマンスのスタンディング・オベーションは過大評価だと思うけれど。


肝心のパフォーマンスに関して言えば男子のパフォーマンスの方は大きな選曲ミスはなく、外れパフォーマンスもなく、それぞれの個性が感じられて、まんべんなく楽しめた。

最初に登場したリード・グリムのキャラクターは魅力的だったが、後半になるにつれてどんどん良いパフォーマンスが出てきて、印象が薄くなってしまった。あとアダム・ブロックに関しては白人のソウルマンということで自らをホワイトチョコレートと称したのが、シーズン5の優勝者で“ソウルパトロール”と叫んでいたテイラー・ヒックスや、声質がシーズン8TOP3のダニー・ゴーキーを想起させる。要は私のあまり好きでないタイプで、パフォーマンス自体はいささか古めかしく、アレサ・フランクリンの「Think」はシーズン9のシボーン・マグナスのヴァージョンの方がインパクトがあり、パンキッシュな部分が新鮮だった。シボーンを覚えている視聴者がいればマイナスの選曲である。

Siobhan Magnus - Think American Idol 9 Top 10 Girl
「Think」はシーズン5の準優勝者キャサリン・マクフィーも歌っていて、上手かったのだが、節回しなどがいささか古臭く感じられた。シーズン9のシボーン・マグナスのバージョンがyou tubeでも人気があり、you tubeのコメントでもアダム・ブロックは選曲ミスだったという意見も結構見られた。


ディアンドレはファルセットを活かした独特の声に特徴があって選曲も良かった。圧巻だったのは“マンテイジア”(教会育ちのディーバ系?ということでシーズン3の優勝者ファンテイジアの男版ということでmaleをかけてあだ名がつけられた)ことジョシュア・レデット。

Joshua Ledet - American Idol - You Pulled Me Through
去年の男のディーバ系がジェイコブ・ラスクだとしたら、今年はジョシュア・レデット。しかもディーバ系にとどまらない圧巻の表現力と歌唱力。毎回聴き惚れてしまう。


フィリップ・フィリップスはアレンジを変え過ぎと言われていたのだが、確かにハリウッドラウンドでクリス・アイザックの「Wicked game」を歌った時に、私はこの曲が大好きなのに誰の曲かわからなかったくらいである。シーズン9のシボーン・マグナスもこの曲を歌ったが、フィルもシボーンもスティーヴィー・ワンダーの「Superstition」も歌っており、インディーズ・ロック系だから選曲の好みが似ているのかと思った。2人ともそれぞれ個性的で良かったけれど。

Chris Isaak - Wicked Game
オリジナルの「Wicked game」。クリス・アイザックともども大好きだった。


Phillip Phillips - Wicked Game
最初聴いた時は何の曲だと思った。フィリップ・フィリップスの強みは何を歌っても個性が打ち出せて、その個性にオリジナリティがあること。今シーズンの重要人物であることは間違いない。


ヒージュン・ハンはこの曲で君の魅力が伝わるかどうかわからないがと審査員に言われていたが、ここでも先週彼が通った回にBGMが「ヘイ・ジュード」だったようにスティーヴン・タイラーが「ヒージュン・・・」と「ヘイ・ジュード」のメロディーを歌いながら審査を始めたので、やっぱりあのBGMはアメリカ流ダジャレだったんだと確信した。

Heejun Han - Angels - American Idol 2012
ヒージュンのお母さんの下手の横好きダンスが微笑ましい。
スティーブン・タイラーのダジャレ「ヒージュン」の歌にも注目。


スティーブン・タイラー、だがダジャレと美女に露骨に甘かったり、ジェニファー・ロペスのアカデミー賞での乳房露出騒動のパロディーとして乳首見せたりするのを見ると、単なるオヤジなのではないかと思ったのだが、考えてみれば彼には孫もいるのである。事情を知らない視聴者にアカデミー賞授賞式の時のことですとすかさずフォローをする司会のライアン・シークレストはさすがである。

それでも男性パフォーマンスで印象に残ったのはと司会のライアンに聞かれ、審査員が名前はジョシュアの次には必ずフィリップ・フィリップス、ヒージュンの名前を上げるので、審査員の彼らに対する期待値はすごく大きいのがわかった。

女子は外れパフォーマンスというか微妙な選曲、明らかな選曲ミスも多かった。エリカがハートの「What about love?」を歌ったが、原曲のアン・ウィルソンのパワフルなボーカルと比べれば大いに見劣りがしたし、ブリエルの「Doc of the bay」は彼女のキャラクターは見えたけど、この曲の本質は全く表現できておらず(職も希望もなく港にたたずんでいて景色を見てばかりいる、どこか諦めというか流されるままになっているという男の歌であることがわかっているとは到底思えない)、上っ面のパフォーマンスだった。チア・リーダーキャラというか仕切り屋で自分はスポットライトを浴びて当然という発言など強気の発言するのは私は別に嫌いではないのだが、ジェシカ・サンチェスを上回るパフォーマンスをしてから発言しないとただの思い上がりに見えて恥ずかしいし、視聴者からは好かれないので損である。

Heart - What About Love?
ボーカルのアン・ウィルソンは今は横綱のように太ってしまった。ハートの曲、特に「Alone」は毎年アメリカンアイドルで誰かしら歌っている。シーズン4で優勝したキャリー・アンダーウッドが「Alone」を歌って、審査員サイモン・コーウェルに「キャリーはアメリカンアイドルで最も売れる歌手になる」と絶賛された。


Otis Redding-Sitting on the dock of the bay
食も住む場所もなくあてどなく港に佇む男の姿を悲しいというよりどこか諦めたような、流れるままに生きている感じを歌った名曲。歌手というのは歌唱力だけでなく、歌の背景にある言魂を伝えるのが重要であり、それを伝えられる歌がまさしくソウルミュージックなのである。


またヘイリーの「スウィートドリームス」をランディが悪夢だと言ったのはまんざら間違った発言ではなく、ユーリーズミックスのアニー・レノックスは圧倒的な歌唱力と表現力のある人だが、あの曲ではエレクトリックなサウンドに合わせてわざと無機質に歌っているので、この曲をコンペティションで歌うこと自体がミステイクである。ただ本人はすごく満足げなのが救いではあったけれど。

Eurythmics Sweet Dreams
80年代の曲なのに今見てもクールでかっこいい。下手に歌われると原曲のイメージも損なわれるから困ってしまう。


スカイラー・レインの「Stay with me」のパフォーマンスは、昨年のローレンが本選になってから思い切りがよくなくなってしまったのと対照的に、パワフルで豪快な元気娘らしいパフォーマンスでようやく本選になってきたという感触はあった。ホリー・キャバナーは昨年のTOP24で落選した時のことはよく覚えている。その後高校を卒業して進路を決めないまま、夢に賭けるリスクは大きかったと思うのだが、クリスティーナ・アギレラの「Reflection」の歌いっぷりは悪くなかったし、審査員が難曲に挑戦するのはどうかという意見もだったのだが、最後に印象に残ったのはというとホリーの名前が上がるので彼女への期待値は高いと思った。

American Idol - Skylar Laine "Stay With Me"
元気娘、スカイラー・レイン。彼女は中途半端な歌い方をしないのが気持ち良い。それに10代で実家の稼業や将来のことをきっちりと考えている。結局本当の意味での成熟というのは年齢には関係ない。もちろん歌などのクリエイティブの分野ならなおさらである。


American Idol - Hollie Cavanagh -- Reflection --


女性陣に関してはジェシカ・サンチェスが明らかに主役であった。力むとこぶしというかドスが利いたようになるのは気になるのだが、抑揚のつけ方や仕草がこなれている。既にコンペティションの経験もあり、自信だって誰よりも持っていると思うのだが、アジア系だからということで高慢な態度を示さない。そういう意味ではお母さんがしゃしゃり出てくる苦労知らずのチアリーダーキャラ、ブリエルよりもフィリピン人とメキシコ人の血が入っているマイノリティのジェシカの方が「GLEE」でも描かれていたようにアジア系人種の「Aマイナス」は普通のアメリカ人の「F」に相当する現実をわかった上で勝負している。

Jessica Sanchez - Love You I Do
やや歌いっぷりといい、仕草といいこなれている点が嫌みに思えるくらいだが、まぎれもなくスターの資質はある。ルックスも良いし、謙虚さを装う(?)のは賢明である。アメリカンアイドルは最終的には視聴者が選ぶのだから。


残念だったのは実力派のエリーズとジェンが共にアデルの「One and only」を歌ったこと。エリーズの深みのあるハスキーな声の方がアデルの曲に合っていたと思う。ジェンはパーソナリティがすごく魅力的で好きなのだが、正直彼女にはR&B色の濃い曲の方が良かったと思う。

いずれにせよ男性陣の方は目立った選曲ミスはなかったものの、女性陣のジェシカ・サンチェスやスカイラー・レインのティーンの女の子たちの方がパワフルで、多分ティーンの女の子とジョシュア、フィリップを中心にこのシーズンは続いていくのではないかと思っている。

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
ブログ読ませていただきました。アメリカン・アイドル、毎週楽しみに見ています。
先週のジャーメインが戻ってきた理由をこちらの記事を読んで初めて知りました。
色々あったんですね〜。でも彼が戻ってきてくれて、彼のパフォーマンスが見れてよかったです。
私もアメアイの感想を書いてますが、こちらのアメアイの記事はものすごく深いですね!次回の更新も楽しみにしています!
chika
2012/03/20 17:05
chikaさん、コメントありがとうございます。

ジャーメイン事件に関しては知れば知るほど制作側への疑念が高まるのですが、先々にオンエアされた時に改めてブログに書くつもりです。ただコンペティターの仲間たちに彼が好かれ、マスコミの中には彼に同情的だったことが救いでした。

chikaさんのブログも是非拝見したいです。
今後ともよろしくお願いします。
miporing
2012/03/20 22:11

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