2012/04/01 (Sun)
フィギュアは、大技を決めるだけの競技なのだろうか。知略戦略が必要のはず。
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報道によると・・・世界選手権に出場した浅田選手は・・・冒頭のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)が抜けて1回転半になり、全てが崩れた。浅田のフリーはジャンプがまともに入らず、4分間は長かった。2年ぶりの制覇を目指した戦いは、失意の6位。「何をしていたのかなという感じ」。表情はうつろだった。現地入りしてから調子を落とした。大技は公式練習でもほとんど決まらず、SPでも回転不足。「調子が上がらず、気持ちが動揺してしまったかもしれない」と確かな自信はなかったが、世界選手権のために調整してきたから、外せなかった。こだわる気持ちは、佐藤信夫コーチも大切にしている。「日本での練習で調子が良かったので、取り上げるのはなかなか(難しい)。何とかしてやりたかった」と、浅田の意志を受け入れた。公式練習からまずまずだったフリップ―ループの連続3回転は、入れなかった。この連続ジャンプも大きな得点源になり得るが、トリプルアクセルを優先。大技への思いが強過ぎて失敗が尾を引き、連鎖的に演技が崩れた。「力を全然出し切れていない」と振り返ったが、こだわっている大技だけでなく、幅を広げたジャンプや高い表現力を、もう少し信じられればよかったかもしれない。・・・とのことです。
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3回転半へのこだわりの余り、フィギュアスケートの点数がどのように決まるかということを全く考えていないことにちょっと衝撃を受けました。マスコミ報道からしかわかりませんが、練習でも3回転半は全くきまっていなかったようです。練習でできなことが何故本番でできると思うのか全く理解できません。
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フィギュアは、4回転だけ、3回転半だけを跳ぶためのものである時代は終わりを告げています。伊藤みどりさんの時代は、印象点だったので、わざと技のつなぎは余り重要ではなく、大技さえ決めれば良かったのです。ビールマンスピンにしても、3回転半にしても、大技主義の時代だったと言えるでしょう。
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今は、各技毎に数に制限があり、その技毎に基礎点、出来映え点が加算される仕組みになっています。そのことを考えると、3回転半はあくまでも技の一つです。しかも、3回転半単発の基礎点は、3回転の連続ジャンプより劣っています。冷静に考えれば、3回転半は確実にできる場合以外にはやらないことなのです。3回転半に対する国際スケート連盟に考え方は点数配点からみて十分判ります。3回転半に小さい点数しか配点していないのは、「女子は無理して3回転半をしなくてもいいよ」「それよりも、3回転のコンビネーションジャンプをしてください」というメッセージを感じなくてはならないはずです。
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荒川選手がトリノオリンピックで、スルツカヤやコーエンを抑えたのは、当時だれよりも点数がどのようにしたら取れるかを考え抜いた選手だったからです。だから、フィギュアには知力が必要なのです。
浅田選手がバンクーバーオリンピックで、3回転半を3度決めながらもキム・ヨナに敗れたのは、点数を取る戦略に欠けている面があったからでしょう。
これらは、モロゾフコーチ、ブライアンコーチの勝利でもありますが、スケーター自身が十分に考え尽くしていたというところが肝心です。
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この点、浅田選手には、物足りなさを感じてしまいます。このまま3回転半にこだわっていたのでは、勝てないでしょう。4回転が期待されていた頃の安藤選手と同じです。浅田選手が3回転半を跳べた時と、身長が大きく変わっているそうです。情報に寄れば、ロシアの若手が大きく台頭してきているそうです。当然、キム・ヨナも復活してくるはずです。
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浅田選手には技術よりもそういう戦略を立てることができるコーチが必要だと思います。しかし、佐藤コーチでさえ、3回転半を止めさせられなかったと言うことになると・・・先行きは非常に厳しいと思います。いつも応援しているだけに本当に残念です。
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世の中の仕組みということをよく考えなければ、自分に有利な途を見つけることができないというのは法律問題も同じです。形式上の妻の地位にこだわる、食べ物を節約してでも持ち家にこだわる・・・・・。世の中の仕組みを知ることが大切です。