放射性セシウムを含む食品に関して暫定規制値より厳しい新基準値が適用されたものの、不安を拭い切れない消費者の中からは「国産」と表示された牛肉や加工食品に具体的な産地を示すよう求める声がある。
精肉や野菜などの生鮮食品は、日本農林規格(JAS)法で産地表示が義務づけられている。ただ、野菜が都道府県単位で表示する決まりになっているのに対し、肉は「国産」の表示が認められている。消費者庁の担当者は「家畜は県をまたいで複数の農場で育つことがあるため」と説明する。
加工食品の原料の産地表示に関し「課題が多い」と指摘するのは日本消費者連盟の山浦泰明共同代表だ。国内で製造された加工食品は干しシイタケや、ゆでたタケノコのように原料が限られる場合でも「国産」の表示が認められており、山浦さんは「産地が見えない」と語った。
消費者庁の担当者は「加工食品では品質を一定にするため各地の食材を使う。頻繁に変わる産地を管理して表示するにはコストもかかる。義務づけても実現性に乏しい」とした上で「消費者に、安全性をどう表示で見せるか課題だ」と話す。
自主検査で給食の食材の干しシイタケから暫定規制値を超える放射性セシウムが検出された愛知県岡崎市の私立幼稚園園長(64)は「国がしっかりと監督しなければ、未検査の食材が流通する可能性もある。安全性を考えると、地元産の食材を選んで使う態勢にしていきたい」と話す。
(中日新聞)