別次元!コロッケ革命
2007年10月10日放送
子どもから大人まで幅広く人気のある揚げ物、コロッケ。でも家で作ったりすると、サクサクしない、ベタつく、パンクする……というお悩みもあるようです。
熱々であれば十分美味しさを味わえるコロッケですが、なんと冷めてもおいしく揚げるワザを発見! 揚げ方の落とし穴からサクサクする裏技まで大公開! 新世界を体験できる、別次元のコロッケのメニューは必見です。
「うまいコロッケ食べたっケ対決」
ジャガイモを塩水(1リットルの水に対して120グラムの塩)に入れると、浮くものと沈むものがあります。
- 沈むジャガイモ: でんぷんが多いため重く、煮くずれしやすいがホクホク → ホクホク系
- 浮くジャガイモ: でんぷんが少ないため軽く、煮くずれしにくいがかため → キッチリ系
男爵イモにはホクホク系のものが多いものの、キッチリ系のものもあります。一方、メークインにはキッチリ系のものが多いものの、ホクホク系のものもあります。しかし、“究極に美味しいコロッケ”に使う男爵イモは、「浮く・沈む」では判別できないのです。
目標は、冷めてもおいしいコロッケ
コロッケマンと3人の主婦にコロッケを作ってもらい、作りたてを小学5年生に食べてもらいました。すると主婦のコロッケは大好評、一方コロッケマンのコロッケは不評でした。
しかし、2時間後、別のクラスで再対決すると、一転してコロッケマンのコロッケがとても高い評価を得ました。
その理由は、冷めてもおいしかったことにあります。今日は、冷めてもおいしいコロッケを家庭で実現するためのコツを探っていきます。
「謎のコロッケの正体」
実はコロッケマンが用意したコロッケは、人気コロッケ店の名人が作ったものでした。
主婦のコロッケと名人のコロッケを比較するために、無響音室と呼ばれる部屋で食べたときの音を分析してみると、差がないということでした。しかし、2時間経った後の冷めた状態で食べたときの音を比較すると、名人のコロッケのほうにはサクサク感が残っていたのです。
そこでコロッケマンが再度調査すると、名人の作り方にある違いを発見しました。それは、パン粉をつける前に、小麦粉と卵に水を加えて溶かした液体につけていたことです。
「小麦粉+卵+水」にパンクの予防効果
名人と主婦のコロッケの断面を拡大して比較すると、名人のコロッケには衣と具の間に、うす~く膜が形成されていることがわかります。この膜が、水分が具から衣へ移動するときにバリアの役目をして、衣のサクサクをキープしてくれるのです。これが名人のワザの1つ。
名人のワザのひとつは、「小麦粉+卵+水」の液体につけてから揚げることだとわかりました。では続いて、揚げる油の温度を観察します。
「名人、油(ゆ~)にはこの温度?」
コロッケ名人は、コロッケを揚げるときの油の温度を見極めるために、「衣を油に入れたとき、衣が沈まず表面に散っている状態」を目安にするといいます。一方、主婦は、「一度衣が沈んでからパーッと上がってくる感じ」が目安だといいます。
そこで実際に、コロッケを揚げるときの油の温度を確認すると、主婦はおよそ160度だったのに対して、名人はおよそ200度。名人は主婦よりも40度も高い温度で揚げていたのです。主婦と名人の揚げる温度と時間を比較すると、名人は1分50秒程度でしたが、主婦は3分ほどでした。
コロッケは高温短時間で揚げて、中の温度を上げないこと
名人が揚げたコロッケの内部温度を確認すると、大部分は50度前後。一方、主婦が揚げたコロッケは70度以上と温度が高くなっています。低温で長時間揚げると、揚げたあとに中の温度が高くなってしまい、水蒸気が発生します。実は、これが冷めるとおいしくなくなる理由のひとつです。
水蒸気が発生すると、水分が衣へ多く移動してしまうので、時間とともにヘニャヘニャになってしまうのです。さらに、中にも油が侵入するため、油と水分が混在してしまうことになり、ベタベタ感を強く感じるのです。
具は一度、火を通してあるものなので、キツネ色まで揚げるというよりは、高温にして短時間で揚げるのがポイント!
ここまで、冷めても美味しいガッテン流コロッケのコツは…
液体をつけて200度を目安に1分50秒(具は60グラム程度)で揚げる
「こっちがおいし~イモん」
つづいては具に注目します。名人のコロッケが美味しかった理由として、子どもたちは「ソースがいらないほど、濃い味がして美味しかった」と言っていました。実は、ここに大きな秘密があります。
コロッケ名人の店の冷蔵庫の中には、男爵イモが保存されていました。実はこのイモ、去年の秋に獲れたジャガイモなのです。
ジャガイモは低温保存で甘くなる!
名人が使っていた男爵イモの入手先である北海道を訪ねました。去年の秋に獲れたジャガイモを保存している農場を見学すると、貯蔵庫の中には去年の雪が保存されていて、そのそばにジャガイモが置かれていました。ジャガイモのまわりの温度は4.2度、湿度は99%。
新じゃがと1年保存したジャガイモを糖度計で比較すると、新じゃがの糖度は6.1%で、1年保存したものは16.4%でした。実は、ジャガイモは低温で長期間保存すると甘くなるのです。
ジャガイモを、温度0~4度、湿度80~90%の環境で保存すると、ジャガイモ特有の酵素が働くため、ジャガイモのデンプンのごく一部が分解されて、糖を増やしてくれるのです。この現象は「低温糖化」と呼ばれています。
北海道では、8~9月に収穫された新じゃがを出荷し、残りは低温で保管しながら順次出荷をしています。つまり、スーパーで出回る北海道産ジャガイモは、11月以降から春先まで一定期間、低温で保管されたものなのです。新じゃがとは書かれていない北海道産が目印です。
冷めてもおいしい秘訣のひとつ、それは甘みを増やしたジャガイモを使っていたことでした。しかし、この時期においしい新じゃがでも、冷めても美味しいコロッケを作れないものでしょうか?
「皮むき皮つきどっち!?」
使っている材料は同じで、1つだけ調理手順を変えて作ったポテトコロッケを作りました。これをスタジオパークに来たみなさんに食べ比べしてもらったところ、45対6で片方が圧勝したのです。ジャガイモの味がしっかりしている、風味があるという意見でした。
皮をむいてゆでると、ジャガイモらしさを失いやすい!
皮のままゆでたジャガイモと、皮をむいてゆでたもので、香りの成分を分析すると、メチオナールという香り成分は5.4倍の差がありました(ゆで時間はおよそ35分間)。
さらにジャガイモの皮の近くの細胞を顕微鏡で見ると、デンプン粒がぎっしり詰まっていました。一方、中心部分の細胞を見てみると、デンプン粒は皮に近い部分と比べて著しく少ないことが分かります。ジャガイモは皮の近くの部分にデンプンを多く蓄える性質があります。
上の実験で好評だったコロッケは、皮をむかずにゆでたジャガイモを使ったのです。
「ガッテン流コロッケ完成!」
新じゃがでもホクホクして甘い、イモらしさを求めて実験を繰り返したところ、グリルを使って加熱すると、よりイモらしさを感じることがわかりました。
さらにこんな裏ワザを発見! 小麦粉と卵と水、そしてさらに酢を混ぜると、サクサク感が保たれることがわかったのです。
実際に、街頭で従来のレシピと食べ比べてもらうと、ガッテン流のコロッケは、ジャガイモのイモらしさを強く感じると大好評でした。
新じゃがで!冷めても美味しいガッテン流コロッケの作り方
- 4個(500グラム)のジャガイモを「魚焼きグリルで焼く」
- ジャガイモを熱いうちにつぶす
- タマネギとひき肉を炒め、塩で味つけ
※タマネギとひき肉の分量はジャガイモの1割ずつ(たとえばジャガイモが500グラムの場合は、50グラムずつ)。塩は適量 - 具をあわせてネタをつくり冷ます
- 「小麦粉+卵+水+酢」を混ぜた液体につけて、パン粉をつける
- 水 100ミリリットル
- 卵 2個
- 小麦粉 100グラム
- 酢 小さじ2
- たっぷりの油で「200度を目安にして」揚げる(衣を入れたとき、沈まないで表面でパーッと散っていればOK)
魚焼きグリルでジャガイモの焼き方
- 半分に切ったジャガイモを水にぬれたペーパータオルでくるむ
- アルミでつつむ
- 両面焼きグリルで強火で25分を目安にして焼いて下さい。片面焼きグリルの場合、ジャガイモを4等分にして強火で40分が目安です。
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