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【国際】

北の「衛星」説に科学的疑問 

2012年4月8日 13時29分

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 【ソウル=辻渕智之】北朝鮮が「人工衛星」と主張する長距離弾道ミサイルの発射問題で、北朝鮮がロケット先端部分の落下区域を国際機関へ通告していないことが分かった。各国が衛星を打ち上げる場合、国際機関に通告するのが通例。専門家は、先端部分の覆いが外れて落ちない限り、搭載された衛星は宇宙空間に投入できないと指摘。北朝鮮の「人工衛星」との主張に科学的疑問が出ている。

 ロケット先端の覆いは通常、円すい形で、内部に搭載した衛星を空気抵抗や過熱から守るのが目的。ほぼ全ての衛星ロケットに装着され、一般に高度百数十キロ到達時点で二枚貝のように開いて外れ、地球上に落ちる。船舶の安全航行のため、各国は国際海事機関(IMO)に事前通告しているのが一般的だ。

 しかしIMOによると、北朝鮮が通告したのは1、2段目の推進体が韓国西方沖とフィリピン東方沖の2海域に落下予定だということのみ。北朝鮮は2009年の発射時も「覆い」落下地点を通告していないが、「国際規定を守る」「残骸物で周辺国家に影響を与えない」と強調しており、「覆いが落ちるのに通告しないとは考えにくい」と専門家。

 北朝鮮が発射するのが「衛星」だった場合、覆いは3段目の推進体の先端に装着され長さ5メートル、重量400〜500キロ程度と推定される。韓国航空大の張泳根(チャンヨングン)教授は、外すなら1段目推進体の分離後が効率的と分析し、「覆いが外れなければ常識的に衛星は外に出ない」と指摘。長距離弾道ミサイル発射と衛星ロケット打ち上げ技術は共通するため「実際には衛星搭載や軌道投入がなく、(覆い落下がない)ミサイル試射の可能性がある」と述べた。

(中日新聞)

 

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