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ゼロ魔につまってなんとなく書いてみました
いや、あっちを投げるつもりはないんですけどね

楽しんでいただければ幸いです
01.プロローグ
「ネギー! どこなのネギー!」

 さほど離れていない場所でよく知る少女が声を上げているのが聞こえる。
 ネカネ・スプリングフィールド。魔法学院に通う優しい女性ヒト
 彼女が捜しているのはネギ・スプリングフィールド。ご存じ『ネギま』の主人公であり、

「もう。あの子ったらどこいっちゃったのかしら」

 すなわちここ(・・)はネギまの世界ということになる。

「まぁ今更確認することでもないんだけど」

『俺』は誰に告げるでもなくつぶやいた。まったくもって今更のことである。『俺』にとってみれば、それはどうしようもなく今更な事実。
 原作でネギがおぼれた湖の畔に座り、景色を視界に収めながら、ゆっくりと思考に埋没する。


 そう、今更のことだ。鬱陶しくなるほど今更のことだが『俺』は転生者だ。『俺』として生きた年月は二十年を越えるというのに、現在二歳児に甘んじている転生者。『前世』は魔法なんて漫画の中にしか存在しない普通の世界。長谷川千雨がこよなく愛した常識的な世界だった。
 そのことに何の不満もなかったと言えば嘘になる。剣だとか魔法だとか、そういう中二を過ぎれば口に出すのも恥ずかしくなるような幻想に憧れがなかったわけじゃない。
 別にいいだろう? 誰もが心躍らせるからこそ、ファンタジーは現代でもすたれずに存在し続けているんだ。子供じゃなくなったからといってスター・○ォーズを見に行けなくなるなんて間違ってるだろう? 大人だってハ○ー・ポッターを読んだっていいだろう? 剣も魔法もいいじゃないか。まぁさすがにかめはめ波の練習をしている奴に出くわせば、俺だって白い眼で見ていただろうけどさ。
 もっともいくら漫画が好きだからといって、まさかその漫画の世界に生まれ変わることになるとは思ってもみなかったがね。魔法のない世界にも神様やら転生やらはあったらしい。


「折角帰ってきたっていうのになぁ」

 ネカネの声には反応はしない。まぁ声はこちらに近づいてきているようだし、『俺』が見つかるのも時間の問題のような気もするが。


 ふう、と小さく息を吐き、精神を集中する。
 転生する際に『俺』は神様から所謂チート能力というのを貰っていた。
 まぁ。なんだ。ありがたいことではあるな。
 もっとも『俺』がチート能力を貰うに至った原因を考えると、あまり感謝したくはなくなるんだが。
 曰く、超常の『力』を得た転生者が、創作作品をモデルに創った世界を引っ掻き回し、原作とは違った『生きた物語』を紡ぐのを眺めるのが神様方の娯楽だとか。
 そのためにランダムで選んだ人間の生を終わらせ、ランダムで選んだ異世界へと送る。その人間の欲した『力』を一つだけ与えたうえで。俺の場合は『ネギま』の世界だった、と。
 ……思い返すとやはり腹立たしくもあり。
 おっと。集中が乱れたな。この『力』は制御が難しい。というのも出力が強すぎるのだ。
 まぁ『俺』はまだまだガキだ。焦らずじっくりいこう。


 神様から『俺』が貰った能力。それは『念』。ハンター×ハンターに出てくるあれだ。
 いろいろと迷ったことは迷ったんだがね。
 チートと言えば、『無限の(アンリミテッド)剣製ブレイドワークス』だとか、『王の(ゲートオブ)財宝バビロン』だとか、あとはそう、『直死の魔眼』あたりが思い浮かぶが。
 ……正直『殺し合い』でしか使えない能力ってのはどうかと思ってね。
 他にもワンピースの悪魔の実の能力だとか、ブリーチの斬魄刀だとか、『とある』に出てくる超能力だとか、どうにも物騒で。
 といっても完全に平和な力ってのもどうかと思う。原作に関わるにせよ、原作から逃げるにせよ、戦う力も必要になってくるだろう、ってね。まぁこんな所(・・・・)に生まれるってのはさすがに想定外だったけどさ。
 その点『念』ならば汎用性は高いんじゃないかと思えたんだ。
 名だたる芸術品には『オーラ』が宿っているという描写がヨークシン編であったし。逆に言えば『オーラ』を込めることが出来るようになれば、画家や彫刻家として生きることも出来るかもしれない。
『念』修得者は若さを保ち、長生き出来るという描写もあったしね。
 戦闘以外の面でも活用できる能力。『俺』がどんな『発』を作るかにもよるが、なかなか良い選択だったんじゃないかと思ってる。ビスケなんていい例だろう。素の戦闘力も高く、能力もマジカルエステのクッキィちゃん。『念』のほうが『殺し』に特化したチート能力よりは出来ることも増えそうだ。
 それに、なにせ神様から『チート』として貰った才能だからな。ピトー程ってことはないが、鍛えれば結構なものになるんじゃないだろうか。
 ……暴走させないよう気を付けないと。
 そういえば原作でのネギも、生まれ持った莫大な魔力をたびたび暴走させていたっけ。
 さすがにアレほど無様な真似をするつもりはないからね。まぁなんだ。まずは『纏』『絶』『練』を完璧にしておこうか。


「やっぱり村のほうを探したほうがよかったかな。ココロウァさんが森に駆けて行ったのを見たって言ってたけど。……あっ!」

 ふむ。『俺』を見つけたか。まぁいい。
 あぁ。そうそう。そういえば俺に第二の生を与えてくれた神様にはとっておきの恨み言があったのを忘れていた。

「おーい! アイカー! 久しぶりー!」

 手を振ってくる姉のような存在に『俺』も手を振り返し、そっと毒づく。

「はぁ。まさか女に生まれることになるとはね」

 アイカ・スプリングフィールド。
『サウザンドマスター』の魔力と、『災厄の魔女』の容姿を受け継いでしまった、『原作』には存在しないネギの双子の妹。
 そいつが、まぁ、……『わたし』なわけだ。
『我』と書いて『オレ』と読め的な?
いや、普通にオレでいいんですけどね

アイカはチートと言ってますが、H×Hの世界ならチート扱いされないレベルの能力だったり
ピエロの旦那は舌なめずりするレベルでしょうが


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