ここから本文です

カーシェアリング「市場急成長でも赤字」の理由

プレジデント 4月7日(土)10時30分配信

■100億円突破

 不況や震災による節約志向を背景にカーシェアリングが伸びている。所有から利用へというドライバーの意識変化に伴い、近距離・短時間の自動車使用の選択肢として認知されたといっていい。矢野経済研究所が1月末に発表した調査結果では、2010年に約24億円だった市場規模が、今年は100億円を突破するという。

 この勢いを象徴するのが、業界トップのパーク24だ。同社は09年からこの分野に参入しているが、好調の理由を広報担当の袴田千津子さんは「当社のカーシェアリングサービス『タイムズプラス』は現在、会員数9万人を超え、車両台数3700台余りになっています。最大の成長要因は、全国に約1万カ所ある時間貸駐車場『タイムズ』を活用して、その5分の1に車両を配備できたからです」と話す。

 カーシェアリングを事業として立ち上げるには、会員、車両、そして駐車場の3つの要素が不可欠である。ただ、会員獲得に先がけてハード面を整備する先行投資型ビジネスであるため、収益確保まで時間がかかる。パーク24ですら、前期までは営業利益ベースで赤字が続き、今期(12年10月期)±0をめざすという状況で、黒字化できた会社はまだ1社もない。

 そうしたことから、新規参入したものの、撤退を余儀なくされる事業者もあり、現時点では、パーク24やオリックス自動車など大手数社の寡占に近い状態にある。だが今後、これらの企業が駐車場を増設し、車両を増車することで、使い勝手がよくなれば、会員数はさらに増えていくはずだ。


-----------------------------------------------------

岡村繁雄=文

【関連記事】
スーツ、漫画、車……「何でもレンタル」入門
不景気関係なし。「ヒット商品」が出ない理由
車費用を年間80万円節約!「自家用感覚」サービス
「カーシェアリング」〜個々人の嗜好と経済効率性の限界
「ブランドレンタル」〜ヴィトン、シャネル……高級バッグを数千円で

最終更新:4月7日(土)10時30分

プレジデント

 

記事提供社からのご案内(外部サイト)

プレジデント

プレジデント社

2012年4月30日号
4月9日発売

定価690円(税込み)

仕事リッチが読む本 バカを作る本
ここで大差!
「できる上司、部下」の決定版350冊

 

PR

PR

注目の情報