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被災市町の1年(12)山元町/イチゴ生産、集団化推進
 | 農免道沿いに整備が進むイチゴ生産団地の一角 |
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 | 斎藤俊夫町長 |
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沿岸部に散乱していたがれきは、ほぼ収集を終えた。町内に集積されたがれきについても、県の2次処理施設が間もなく完成し、本格的な処理が始まる。がれき撤去は、一時300人を超えた行方不明者の捜索活動と並行しながら、順調に進めることができた。 仮設堤防やライフラインの復旧に合わせ、立ち入りを禁止する避難指示区域を段階的に解除した。未曽有の大震災の教訓を踏まえ、津波の浸水深に応じた災害危険区域を指定したのは、安全安心のまちづくりを進める上で避けて通れなかった。これまで秩序ある復旧に留意してきた。 町特産のイチゴの復活は復興のシンボルだ。イチゴ農家が自力で復活するのは経済的に難しいため、国の補助制度を活用し、集団化、協業化の方向で再建を目指す。
<ホッキ漁に期待> 町は新たな「ストロベリーライン」となる農免農道沿いに、4カ所のイチゴ生産団地を整備する。農家60戸が参加を希望し、新年度は36戸が作付けする。観光農園を中心に新たな交流拠点になってほしい。集団化は企業的な農業経営に移行する機会にもなる。 イチゴ、リンゴとともに町の三大ブランドであるホッキ貝は2月上旬の調査で、生息が確認された。ことし12月のホッキ漁再開を期待している。
<鉄道対策室設置> 町人口は震災前と比べ約2300人減った。人口流出に歯止めをかけるため、津波で壊滅的な被害を受けたJR常磐線の早期復旧が最優先課題だ。 いち早い復旧はスムーズな用地買収にかかっている。新年度、庁内に用地・鉄道対策室を設けるほか、地元事情に詳しい町役場OBに非常勤職員として活躍してもらうことも考えている。県、町、JRが一体となって用地確保に全力投球し、着工から3年程度という運転再開時期を少しでも前倒ししたい。 集団移転については、個別面談の結果、町が整備する住宅団地や災害公営住宅への移転希望者が全体の45%の766世帯に上った。町独自で住宅取得費用を最大150万円補助する制度が、定住促進に効果的だと思っている。 今後は被災前の町の良さに加え、利便性や快適性、にぎわいを生みだし、魅力アップを図る。町外に転出した住民にも戻ってもらえるだろう。 (聞き手は白石支局・小沢一成)
<メモ>山元町災害対策本部によると、6日現在、死者615人、行方不明者2人。住宅被害は全壊2217棟、大規模半壊534棟など。 震災復興計画は2018年度までの8年間。総事業費は3500億円程度を見込む。人口減少・少子高齢化対策など5分野の重点プロジェクトを示し30事業を盛り込んだ。 土地利用計画では、JR常磐線の新ルートと国道6号の沿線に3カ所の新市街地を形成する方針を打ち出した。津波被害を受けた沿岸部の住民らの集団移転を促す。
2012年03月08日木曜日
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