9回、ターサク(左)の顔にパンチをヒットさせる粟生
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◇WBC世界スーパーフェザー級タイトルマッチ
粟生は自らの拳で28歳の誕生日を祝った。長谷川、山中とつないだ勝利のバトンを落とすわけにはいかなかった。中盤から積極的に仕掛け、10回には連打でタフな最強挑戦者とグラつかせた。前戦の僅差判定勝ちの汚名を返上する完勝だ。
リング上のインタビューで「誕生日に(グローブの)8オンスで殴られるとは思ってなかった」と苦笑い。続けて「お父さんとお母さんが産んでくれなかったら今の僕はない。心配かけるけど、もう少し見守ってください」と両親に感謝した。
「もう少し先」には夢のカードが待っている。WBA王者・内山高志(ワタナベ)との統一戦だ。会見では「もちろんやりたい気持ちはありますけど、自分の意思では決められない。ボクシング界が盛り上がるカード。気持ちはあります」と熱望した。
プロモーターの帝拳ジム本田明彦会長も「粟生にはみんなが期待するカードがあるから」とニヤリ。「お互いにもう1戦ずつやった後に(統一戦を)やりたい」と明言した。粟生の中継は日本テレビ系列、内山はテレビ東京系列と、テレビ局の調整が必要になる。それでも本田会長は「(時期は)早ければ年内に」と交渉に前向きだ。内山陣営の渡辺均会長もノリノリ。会場で粟生の完勝劇を観戦し「(内山は)6月に選択試合があるので、その後ならやりたい。年内? ぜひお願いしたい」と応じる構えだ。
“相思相愛”であり、ファンも望む超ビッグカード。粟生と内山がともに防衛戦を1試合クリアすれば、年内にも「世界最強」を決める王者対決が実現する。 (森合正範)
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