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【格闘技】

山中慎介が闘牛血祭り

2012年4月7日 紙面から

5回、ダルチニャン(右)を攻める山中

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◇WBC世界バンタム級タイトルマッチ

 WBC世界バンタム級王者山中慎介(29)=帝拳=が怒れる猛牛の異名を持つ、元2階級制覇の大物、ビック・ダルチニャン(36)=オーストラリア=を血祭りにし、3−0の判定勝ちで初防衛に成功した。WBC世界スーパーフェザー級王者粟生隆寛(27)=帝拳=も同級1位の指名挑戦者ターサク・ゴーキャットジム(30)=タイ=相手に、判定で3度目の防衛に成功。元2階級制覇王者の長谷川穂積(31)=真正=も1年ぶりの復帰戦を飾った。日本のジムに所属する現役世界王者は8人のまま。 (観衆5012人)

 ダルチニャン超えもただの通過点か。大物食いに成功した山中は、当然と言わんばかりにひょうひょうとしていた。

 「王座奪取の時、王座決定戦だったから批判もあったけど、(今日は)大物倒したから文句ないでしょ。これからも山中の名前を世界に広めていきたい」

 作戦通りの試合運び。怒れる猛牛の突進を、闘牛士よろしく巧みなフットワークでかわした。ダルチニャンが放つ渾身(こんしん)の左の強打も、顔を横に振って衝撃をやわらげる高等テクニック(スリッピングアウェー)でことごとくかわし、相手のスタミナ消耗を待った。

 4回終了後の公開採点では、2人がイーブン、1人がダルチニャン2点リード。しかし、山中は泰然自若。セコンドの大和心トレーナーが「おまえ、少しは慌てろよ」と、あきれるほどだった。

 そして5回。昨年11月の王座決定戦で相手の顔面を切り裂いたカミソリパンチがさく裂。左のクロスカウンターで右目上から出血させ、徐々に優勢に。10、11回と顔面を血に染めて疲れる猛牛と化したダルチニャンをグラリとさせ、KO寸前まで追い込んだ。判定勝ちもほぼ確実となった最終回の前、山中は「(KOを)狙っていいですか?」とセコンド陣に許可を求めた。ポカを恐れた本田明彦協栄ジム会長に「ダメに決まってるじゃないか!」と安全策を勧められて連続KOは9でストップしたが、文句のつけようのない完勝劇だ。

 「インパクトのある試合じゃなかったかもしれないけど、ボクも世界の強豪の仲間入りができたかな」と山中。次戦は本場米国ラスベガスで同級1位のスター候補アブネル・マレス(メキシコ)との激突も取りざたされるが、この男にベルトを守ろうなんて気はさらさらない。ジャイアントキラー山中は、これからも上だけを見ていく。 (竹下陽二)

 

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