2012年4月5日12時54分
北朝鮮の長距離弾道ミサイル発射に対応するため、政府は5日、沖縄県内の26市町村を対象に、ミサイルが発射されたことを即時に住民へ伝える全国瞬時警報システム「Jアラート」の試験放送をおこなった。人工衛星などを通じて送られた音声が防災無線で街へ流れた。だが那覇市や浦添市などでは作動に失敗。混乱も見られた。
2007年から津波警報などの送信に使われてきたJアラートを、弾道ミサイルの発射情報に使うのは今回が初めて。
人工衛星などからの信号で各市町村の防災無線が自動的に起動され、政府が情報を入手してから遅くとも数十秒で同じメッセージが一斉に流れる。ミサイルの発射直後と上空通過の2度、放送を流す。
この日の試験放送は午前11時と11時半の2回あり、「これは試験放送です」と3回ずつ繰り返された。
石垣市役所では午前11時に受信装置のランプがつき、市役所にある屋外設備からも街中に音が流れた。職員はほっとした様子で拍手した。与那国町でも、役場の放送室にある島の地図パネルに、島内9カ所の屋外スピーカーが正常に動いたことを示す赤いランプがついた。
一方、那覇市では、市役所では信号を受信したものの、防災無線につながる自動起動システムが働かなかった。市内各地の消防職員からも「防災無線の音が鳴っていない」との電話が次々に入った。職員の一人は「洪水警報などの時は作動するのに……」。
浦添市でも、市内23カ所の防災無線が動かなかった。同市牧港4丁目の団地では、自治会が「試験放送が流れる」と事前に住民へ知らせていた。住民の女性(64)は「どんな放送かと思って外に出ていたが、全く聞こえなかった。こんなことで大丈夫かねえ」と苦笑いしていた。
石垣市では同日朝、石垣港近くの国管理の埋め立て地に、地対空誘導弾パトリオット3(PAC3)が搬入された。自衛隊が基地や演習場など以外にPAC3を展開させるのは、訓練を除いて初めて。