追放 亀井静香怒りの激白
【政治・経済】
「野田政権がやったことは政党政治の完璧な否定だ」
離党を表明する直前、個人事務所で亀井は淡々と語り始めた。日刊ゲンダイ本紙記者が問うたのは、亀井を切り捨て、連立に残るという道を選んだ自見金融担当相、下地幹事長らの「浅ましさ」だ。そうまでして、権力にしがみつきたいのか。一体、どういう事情があるのか。亀井にはどういう説明をしたのか。それを問うた。
「私も唖然としています。代表解任なんて、党の規約にない。一方的に議員を集めて、勝手に解任なんて、できないのにやっちまった。私を切ったのは私が党に入れた人たちですよ。そういう議員らが私の首を取る。私の不徳なのかなあ。だって、理由が分からない。郵政民営化法改正案の成立を見届けたい、そのためには連立にとどまらなければいけない、というが、これは自民、公明、民主による議員立法なんです。政府答弁も必要ないし、自然に成立する。そんなことは彼らも分かっているんですよ。それなのに、そういう理由で連立にとどまるという。なにがあったか分かりませんが、この間、(国民新党の)下地幹事長は民主党の輿石幹事長や藤村官房長官と密に連絡を取り合って、『絶対に連立を解消しませんから』と言っていたという。悲しい話ですね」
結局、彼らは与党にいたいだけなのだろう。と同時に、野田政権による相当の「裏工作」があったことも容易に推察できる。消費税引き上げに「政治生命を賭している」野田は小沢グループらの反発に焦りまくっている。そのうえ国民新党に連立離脱されたら、目も当てられなくなる。だから、必死で亀井の動きを封じ込めたのだ。
<残った連中は権力亡者のゴロツキたち>
「消費税引き上げについて、党内で意見を聞かせてくれと言った。意見を聞いたうえで、代表である私が決断して、野田首相に増税の閣議決定には署名できないと伝えた。署名するということは法案成立に責任を持つということですから。連立離脱を表明しました。しかし、私らの仲間(自見大臣のこと)を引き続き、使いたいのであれば、無所属で使ってもらうことにしますが、どうかと言った。野田首相は翌日の朝まで考えると言い、その後、それはできないと断ってきた。しょうがありません、となったのです。首相とのやりとりは、理屈にならなかった。税と社会保障の一体改革でしょう。社会保障の設計がないのは順番からしておかしいと言ったが、『それはそれとして進める』と言う。やるべきことをやらないで、国民に約束したことを反故(ほご)にして、やらないでいいことをやると言う。何かに取りつかれているとしか思えない。加えて、野田首相は、私が連立離脱を宣言した政党に対し、『党内にはいろいろな意見があるようだ』と言い、党内干渉のような対応をした。これは議院内閣制、政党政治の完璧なる否定です」
亀井は今後について、「日本の政治はこれじゃいかんという地方からのうねりの中で、新しい政治勢力を結集していく」と言った。その成否はともかくとして、野田政権に正義がないことだけは確かである。