神戸発:ラジオ政論

日韓通貨スワップ協定を拡大しても感謝されない日本

300億ドルが踏み倒される可能性もゼロではない

2011.10.28(金)

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女性初の財務省主計局主計官(防衛担当)を務めた自民党・参議院議員、片山さつき氏を電話ゲストに迎えた今回の『中山泰秀のやすトラダムス』(Kiss FM KOBEで毎週日曜24:00-25:00放送)。

 日韓通貨スワップ協定の拡大に潜む危険性などについて語ったトーク内容をお伝えする。

日本がリスクを背負う日韓通貨スワップ協定

中山 先日、野田(佳彦)首相と李明博大統領が首脳会談を行い、日韓通貨スワップの限度額を700億ドル(約5.4兆円)に拡大することで合意しました。この、日韓通貨スワップ協定について解説していただけますか。

日韓首脳会談、通貨スワップ700億ドルに拡充へ

日韓首脳会談後の野田佳彦首相と李明博(イ・ミョンバク)大統領。〔AFPBB News

片山 97年にアジア通貨危機が起こったことを覚えていらっしゃるでしょうか。当時の日本は、アジアのなかでも主導権を握る立場にあり、率先してアジア通貨基金(AMF)構想を提案するほど力がありました。

 韓国ウォンやタイ・バーツがみるみる暴落し紙屑寸前になるなか、日本はリーダーシップを発揮してアジア各国を資金調達で支えました。そして、外貨として需要の高いドルや円を市場レートで調達し、いざという時に貸し付ける協定を韓国との間に締結したのです。

 それが、これまで円・ウォンの外貨融通枠は30億ドル相当だったのが、今回300億ドルにまで引き上げられました。そして、ドル・ウォンは現行の100億ドルに加え、外為特会(外国為替資金特別会計)と韓国銀行間の300億ドルのスワップが今回新設されて400億ドルになった。今、これほど増額をする必要は全くありません。

 過去の金融危機で、韓国の銀行はほとんど外資になり、外貨の調達を欧州系の銀行に依存してきました。しかし、欧州経済の信用不安の影響から、欧州銀行は韓国に貸すドルが十分用意できず、韓国は外貨調達に苦しむことになる。そうした背景で韓国側からの申し出により実現したのが日韓通貨スワップの拡大です。

 にもかかわらず、韓国のメディアや世論は「自分たちは昔と違い、7~8カ月分の外貨準備高がある。日本はいざとなったらウォン高にするために介入する気だ」などと、感謝するどころかいわれのないことを言っている・・・。

 しかも、新設されたウォン・ドルの300億ドルには国際通貨基金(IMF)が関与しないんです。仮に韓国がこのスワップ協定を発動した場合は、韓国経済が危機的状況にあると考えて間違いありません。

 300億ドル分もの高額な資金をIMFのような国際機関をかまさずに韓国に貸し出して、もし踏み倒されたら日本政府はどうするつもりでしょう? 私はその可能性は決してゼロではないと思います。ですから、できる限り発動させないように国会で強く警告していくつもりです。

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