ソーラー発電大国・ドイツの落日 収益急減 最大手メーカー破綻 (1/2ページ)

2012.4.4 12:13

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 ドイツの太陽電池最大手Qセルズが4月3日、裁判所に破産手続きを申請し、経営破綻した。ドイツでは再生可能エネルギーを買い取る制度を受け、太陽電池業界が急成長してきたが、近年は供給過剰による電池価格の暴落や中国企業との競争で収益が減少。さらに政府は買い取り価格の大幅引き下げを決めた。太陽光発電の上に暗雲がたちこめている。(SANKEI EXPRESS

 買い取り引き下げ

 共同通信によると、ドイツは2000年、送電業者に太陽光や風力など再生可能エネルギーによる電力の全量買い取りを義務付け、買い取り価格を設備導入時から20年間固定する「固定価格買い取り制度」を採用、急速な普及につなげた。

 中でも太陽光発電は買い取り価格が高めに設定され、関連企業の団体「ソーラー事業連合会」によると、設備容量は約2400万キロワット。2位のスペインや3位の日本の4倍以上に上る。

 普及に伴う太陽光発電パネルの価格下落を受け、政府は定期的に買い取り価格を10%前後の幅で引き下げてきた。連邦議会(下院)は4月1日以降に導入した太陽光発電について買い取り価格を20~30%引き下げるとした法案を3月末に可決。連邦参議院(上院)は5月に同意する見込みだ。

 脱原発に影響

 法案によると、屋根に取り付けるなど10キロワット以下の小規模発電は1キロワット時当たり24.43セント(約27円)から19.50セント(約21円)に下がり、規模が大きい場合は削減幅が増える。小規模発電は全量買い取りをやめ、来年から80%に。今年の太陽光発電の設置は昨年の3分の1に低下する見通しだ。

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