一体何から何を守るのか。長距離弾道ミサイル発射とみられる北朝鮮の「衛星」打ち上げに備え、防衛省が石垣島に展開した地対空誘導弾パトリオット(PAC3)の警備で、陸上自衛隊員に実弾を装填した小銃や拳銃を携行させることが明らかになった。自衛隊施設以外では国内で初めてのことだ。
PAC3が配備されているのは石垣港の新港地区で、自衛隊基地ではなく民間地だ。PAC3の発射台が空を向いて置かれているのも異様な光景だが、住民が平穏に暮らしている市街地のすぐそばで、自衛隊員が銃を携行する風景は尋常ではない。戦場なら敵の攻撃をかわすために必要かもしれない。しかしここは国内だ。住宅地に隣接する場所で携行する銃は住民に向けられることにならないか。
銃の携行は自衛隊法第95条の武器を防護するための武器使用が根拠になっている。防衛省が国会に提出した資料では95条による武器使用を「警察比例の原則」に基づくものだと記されている。警察比例の原則とは警察権行使を最小限にするものだ。PAC3の警備による自衛隊員の銃携行は警察権行使と同じ水準であることが分かる。
それならば、警備は警察に任せるのが筋ではないだろうか。実際に新港地区の入り口には5日から複数の警察官が配置されている。さらに自衛隊員が銃を携行する必要が果たしてあるのかとの疑問が湧く。
2001年の米中枢同時テロの後、在沖米軍基地のゲートにはライフル銃で武装した兵士が警戒に当たり、テロ直後には本紙記者がゲートで銃口を向けられ、カメラを奪われた。昨年10月の米軍によるPAC3移動訓練では基地内でライフル銃を携行した憲兵隊が金網越しの県道で取材をしていた記者に写真撮影を中止するよう要求した。
基地の島・沖縄が軍事色を次第に強め、その気配が基地のない石垣島まで広がることに違和感を覚える。国内初の実施も沖縄で実績作りをしているのではないかと疑ってしまう。
そもそもPAC3の配備は住民の安全を守るのが目的だったはずだ。それにも関わらず、民間地域で自衛隊が銃を携行するとなると、市民に不必要な不安や懸念を広げるだけでなく、守るべき住民を敵視しているとも受け取られかねない。これでは本末転倒ではないか。
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