がれき受け入れ方針 7自治体4月6日 19時5分
被災地のがれきについて、政府が先月、総理大臣名で受け入れを要請した45の道府県と政令指定都市のうち、受け入れる方針と答えたのは、7つにとどまることが、NHKの取材で分かりました。
受け入れが難しいか、検討中などと答えた自治体は、住民の理解が得られないことや、国の基準の安全性が十分理解できないという理由を挙げており、国によるより丁寧な説明を求めています。
震災で発生した岩手県と宮城県のがれきを、被災地以外で受け入れる広域処理を進めようと、政府は具体的な受け入れの意向を明らかにしていなかった35の道府県と、10の政令指定都市に、先月16日、野田総理大臣名で改めて協力を求める文書を送りました。
回答期限の6日に合わせてNHKが各自治体の意向を取材したところ、これまでにがれきを受け入れる方針と答えたのは、北海道と京都府、栃木県、愛知県、三重県の5つの道府県と千葉市、新潟市の2つの政令市にとどまっています。
こうした自治体は、受け入れる方針を示した理由として、被災地の復興に必要だといったことや、がれきについて独自の安全基準を設けたことなどを挙げています。
一方、「現段階で受け入れは難しい」と答えたのは、山梨県、長野県、和歌山県、徳島県、札幌市、名古屋市、岡山市、福岡市の8つで、まだ回答していない沖縄県を除き、全体のおよそ3分の2を占める29の自治体は、前向きなところも含め「検討中」などと答えています。
「受け入れが難しい」か「検討中」と答えた自治体に、理由や課題を尋ねたところ、最も多かったのは「住民の理解が得られない」や「国の基準の安全性の根拠が十分理解できない」というもので、埋め立て処分場の確保や風評被害への不安を挙げた自治体もありました。
こうした不安を踏まえた国への要望として最も多かったのは、「安全性やその根拠をより詳しく説明してほしい」というもので、国が市町村や住民に直接説明するよう求める声が出されています。
また、処分場を国の責任で確保することや、仮に風評被害が出た場合は、財政措置も含めた確実な対策を求める意見もありました。
こうした現状について、細野環境大臣は、6日の会見で「基準の安全性は、繰り返し説明しているが、まだ十分納得していただけないということであれば、説明を尽くしていく」と述べたうえで、今後の対応については、「安全性の問題はもちろん、具体的に処理を進めるうえで、どんな形で自治体に要請するのがいいのかが大事なので、回答を集約したうえで検討したい」と述べました。
がれき処理への国の関与
東日本大震災の地震や津波によって発生したがれきの量は、岩手、宮城、福島の3つの県の沿岸部だけでもおよそ2250万トンに上ると推計されています。
一つ一つの自治体の処理能力を大きく超えた大量のがれきの処理を、環境省は、再来年の平成26年3月末までに完了するという目標を定めていますが、その達成には宮城と岩手のがれきのうちの少なくとも400万トンを被災地以外で受け入れる広域処理を行うことが前提となっています。
しかし、この広域処理が思うように進んでおらず、受け入れを検討する自治体からは、国のより積極的な関わりを求める声も出されています。
要望に応えるために、細野環境大臣は先月、自治体ががれきや焼却灰の放射線量を何度も測ったり、住民説明会を開いたりするのにかかる費用を国が支援する方針を示しました。
また、受け入れにあたって、処分場を拡充したり、新設したりする費用を支援する方針も示したほか、仮に産業や観光に風評被害が出た場合には、国が責任をもって対応する考えも示して、協力を呼びかけてきました。
こうしたなか、政府は受け入れに前向きな姿勢を示していなかった45の道府県と政令指定都市に野田総理大臣名で協力を求める文書を送るとともに、受け入れに前向きな8府県と8つの政令指定都市には、合わせて91万トンのがれきの受け入れを要請しています。
このほか東京都は、2年半で50万トンのがれきを受け入れる予定で、すでに受け入れを始めています。
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