新安全基準を決定 関電に指示4月6日 21時2分
福井県にある関西電力大飯原子力発電所を巡り、野田政権は6日、3回目の関係閣僚会議を開き、運転再開の前提となる新たな安全基準を決定しました。
これを受けて、枝野経済産業大臣は、関西電力に対し、安全対策の工程表を作成するよう指示しました。
大飯原発の運転再開を巡り、野田総理大臣は6日夕方、藤村官房長官、枝野経済産業大臣、細野原発事故担当大臣の4人による3回目の関係閣僚会議を開きました。
冒頭、野田総理大臣は「再稼働の安全性についての判断基準案の議論を行いたい。枝野大臣から修正案の報告を受け、さらなる検討を含めて、4大臣として判断基準の結論を得たい」と述べました。
このあと、関係閣僚で協議し、野田政権として、原発の運転再開の前提となる新たな安全基準を正式に決定しました。
基準には、福島第一原発を襲ったような地震や津波が来ても、全電源喪失や、その後、事態が悪化するのを防ぐための対策が取られていることや、ストレステストで一層の取り組みを求められたことなどについて、電力会社が実施計画を示すことなどが盛り込まれています。
これを受けて、枝野経済産業大臣は、新たな安全基準にのっとって、大飯原発が基準を満たしているかどうか、原子力安全・保安院に対し確認を求めるともに、関西電力に対し、実施計画に関する安全対策の工程表を作成するよう指示しました。
そして、関西電力からの回答を受けて、野田政権は、来週以降、改めて関係閣僚会議を複数回開き、安全性が最終的に確認され、国民にとっても一定の理解を得られると判断すれば、枝野大臣を福井県に派遣して、運転再開に向けて地元の理解を得たいとしています。
“新基準の着実な実施が地元理解への判断に”
原子力発電所の運転再開の前提となる新たな安全基準が正式に決まったあと、枝野経済産業大臣は記者会見し、原子力事業者が安全基準を着実に実施することを条件に、今後、安全性に対する地元の理解が得られるか、政府として判断することになるという認識を示しました。
この中で枝野経済産業大臣は、決定した安全基準について、「東日本大震災以降、政府として指示してきた安全対策や、政府の事故調査会、それに原子力安全・保安院の意見聴取会など、専門家の知見を検証し、国民に分かりやすい形で整理したものだ」と述べました。
また、今回の議論が拙速ではないかという意見が、地元などから上がっていることについて、枝野大臣は「ストレステストをはじめとする慎重なプロセスを去年7月に決めて、対策を積み重ねてきた。今回の基準を満たす原発に、福島を襲ったような地震や津波が来襲しても、燃料損傷に至ることはないと確認した」と述べ、慎重に議論してきたことを強調しました。
ただ、枝野大臣は、「原子力事業者の信頼性向上に向けた取り組み方針が明らかになった場合には、運転再開にあたっての安全性について、地元の理解が得られるか判断することになる」と述べ、原子力事業者が安全基準を着実に実施することが条件になるという認識を示しました。
また、枝野大臣は「必要性がなければ、運転再開の必要がない。その必要性の判断をするうえで、最大の要素は電力需給だ」と述べ、この夏の電力の需要と供給のバランスを見ながら、運転再開について判断する考えを示しました。
一方、枝野大臣は、この安全基準を満たした原発が重大事故を起こした場合、誰が責任を負うかという質問に対し、「政治的責任は、関係閣僚会議に出席したこの4人が負う」と答えました。
[関連リンク] |
|