― 小さい頃はどんな子供時代を過ごされましたか?
父親が漁師、潜水士で、港町で育ったこともあり、幼い頃から海はいつも身近にありました。地元が知床なので自然の中で育ちました。山菜をとりに行ったりもしましたし、木に登ったり、良く外で遊んでいた記憶があります。住んでいたのは斜里町のウトロという地区なのですが、自転車で40km離れた斜里の町まで友達と3時間以上かけて行ってみたり、10km程離れた滝まで行ったりもしていました。田舎なので、近所のお兄さんやお姉さんにも良く遊んでもらいました。どちらかというと昔の子どものように遊んでいたと思います。
― ダイビングをはじめたきっかけやいきさつを教えてください。
小学3年生ぐらいのころに、テレビで小谷実可子さんがイルカと泳いでいるのを見ました。それからずっとイルカと泳ぐことが夢で、またイルカの調教師になりたいと思っていました。父が、それなら、と中学入学と同時にスキューバの器材一式を買ってくれて、スキューバダイビングを始めました。学校が終わると走って家に帰り、父の番屋までまた走って行き、夕方から潜っていました。地元の潜水士会の合宿に参加させてもらったりもしました。それから素潜りの方が楽しいと思うようになり、イルカと泳ぐための手段だった潜るということが、ただ潜るという目的になりました。イルカと泳ぐのは今も変わらず夢ですが、見るものが何もなくても、潜ること自体が好きです。
― 現在は北海道を離れておられますが、そう決心した理由は何ですか?。
もともとはオーストラリアへ行こうと思っていました。ダイビングといえば、オーストラリア、ろいうイメージもあったし、ワーホリの制度もあったので。でも、オーストラリアでフリーダイビングの情報がぜんぜんなくて、いろいろと調べているうちに、沖縄で今も一緒に練習していただいているプロフリーダイバーの篠宮選手がフリーダイビングのスクールを開催されていることがわかり、移住しました。
― フリーダイビングの素晴らしいところとはどんなところでしょう?
フリーダイビングの素晴らしいところは、なんといっても海との一体感を感じられるところです。一体感というか、スキューバよりも海に「潜っている!」という感覚が強いです。
― これまで様々な大会に参加してこられたと思いますが、思い出深い大会、シーンはございますか?
いい思い出ではないのですが、一番印象深いのは2年前の大会(2009年)でBO(ブラックアウト=酸欠などにより意識を失う事)しました。初めてのBOでしたし、それまで割と順調に記録を伸ばしていたので悔しかったです。それまで、ボトムへ到達できずに戻るのは、「怖い」という気持ちを乗り越える勇気が足りないからだと思っていたんですが、根拠のない勇気はただの無謀でしかないんだなぁと思いました。トレーニングもコンディショニングも万全ではなかったので。また、その時に他の選手の方から「美しく潜りなさい。美しく潜れば深度はついてくる」と言われたのがとても印象に残っています。
― 2011年フリーダイビング世界選手権で日本代表として出場することになりましたが、意気込みとかを教えてください。
今回の日本代表は実はタナボタのようなものでした。今年の7月に実行委員長を務める大会を開催する予定だったんですが、台風で中止となってしまいました。私はこの大会で、コンスタントウェイト・ウィズフィン(足ヒレをつけて、自信の泳力のみで潜行~浮上を行う)という種目で53m潜っての代表入りを目標にしていました。しかし中止となってしまって、選考期間の期限の大会でもあったので、代表入りは残念ながらできなくなってしまったんですが、選考期間内の記録からだと欠員がです種目があり、選考期間を1年遡っての代表選出となり、過去の記録からフリーイマージョン(ロープを手繰り、潜行~浮上を行う)という種目で代表入りすることができました。目標としていた種目ではありませんでしたが、せっかくいただいたチャンスなので、出場を決めました。今年は今までの競技人生の中で特に練習していましたし、練習で目標深度は達成できていたので、過去の記録からでも出場しようと思えたと思います。ワールドカップの前にプレ大会があるのですが、そちらはコンスタントで出場する予定です。元日本代表の方に頂いたアドバイスは「軽い感じで頑張っておいで」でした。フリーダイビングはがんばるぞ!!って意気込み過ぎたり、力が入ってしまうとうまくいきません。なので、普段の練習のようにリラックスして行きたいです。
― これからの目標とか夢について教えてください。
競技で言うと、次は日本記録が目標です。そして、世界記録を目標にできる実力をつけること。あとは私の夢の原点であるバハマでイルカと泳ぐことです!
― 最後に読者のみなさんに一言!
フリーダイビング日本代表和田唯です!フリーダイビングはまだまだマイナースポーツのため、馴染みがない方も多いかと思います。トップアスリートの潜る姿はまるでイルカやクジラ、人魚のようなとても美しいスポーツです。北海道ではまだ実際に行える環境も少ないですが、ぜひこの機会に知っていただきたいです。道産子魂で世界大会、頑張ってきますので皆様、応援よろしくお願いします!
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和田唯(わだゆい)さんのプロフィール
1985年12月9日斜里町生まれ、沖縄県うるま市在住。A型、157cm、45kg。DeepWaterOKINAWA所属、フリーダイビング日本代表。2008年に沖縄へ移住し競技を始める。沖縄フリーダイビングカップで総合3位、ディープウォーターカップ沖縄で総合2位、2009年に沖縄フリーダイビングカップ総合10位となる。2010年にはAIDAフリーダイビング世界選手権沖縄でセーフティスタッフ、2011年にDeepWaterCup2011OKINAWA 大会実行委員長を務めた。趣味は海遊び全般やテレビ・映画鑑賞。
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