被災地支援 - 災害廃棄物の広域処理
被災地支援のため県では災害廃棄物の広域処理に取り組もうとしています。災害廃棄物(岩手県からの木くず)の受入れについて、その目的や概要、安全性の確保についてお知らせします。
東日本大震災で、岩手県では1年間に発生する廃棄物の11年分のがれきが山積みにされています。こうした廃棄物を被災地が単独で処理すれば、復旧・復興が大幅に遅れてしまいます。被災地の1日も早い復興には、速やかな広域処理が不可欠です。
そのため、県では岩手県からの要請を受け、同県北部の野田村周辺の木くずの受入れを検討しています。
被災地のすべてのがれきが放射性物質に汚染されているわけではありません。岩手県野田村は福島原発から約310km(さいたま市は約210km)離れています。野田村の災害廃棄物仮置き場での空間線量率は、毎時0.034~0.045マイクロシーベルトで、埼玉県の空間線量率の平均値より低くなっています。また野田村周辺の木くずの放射性物質濃度も不検出(検出限界値14.8ベクレル/kg未満)です。このように受け入れ予定の木くずについては安全で、埼玉県内で毎日処理されている廃棄物と同じか、それ以下のレベルです。
もちろん、安心・安全のため、県が現地や受入れ段階で7段階、細かくは11段階で放射性物質濃度等をしっかり測定し、安全なものだけしか受け入れません。今後受入可能な市町村と相談し、地元の御理解を得ながら、積極的に被災地の復興支援を行ってまいります。
なお、福島県内の災害廃棄物は、国が同県内で処理するので、埼玉県が引き受けることはありません。
参考: 災害廃棄物のセメント資源化処理業務に係る覚書 (実証試験に関わる覚書) [PDFファイル/301KB]
◆◆ 木くず受入れについて ◆◆
《受入れ期間》 平成24年度 ~ 平成25年度 2か年を予定
《受入れ予定量》 2.5万トン/年 (合計5万トン)
《実施予定》 平成23年度 実証試験及び基本協定の締結
平成24年度~平成25年度 各2.5万トン 受入れ処理
◆◆ 受入れ対象 ◆◆
安全性の確保について
1 受け入れる災害廃棄物の放射線量等の基準
項 目 | 数 値 | 参 考 |
---|---|---|
木くずの放射性セシウム濃度 | 100ベクレル/kg以下 | 一般食品の放射性セシウム濃度新基準値(H24.4~ 厚生労働省改正案)と同じです。 国際原子力機関(IAEA)が放射性物質として取り扱う必要がない濃度としている数値です。 |
保管場所・コンテナ側面の空間放射線量率 | 0.23マイクロシーベルト/時以下 | 一般の人の年間積算放射線量の指標値1ミリシーベルトに相当します。日常生活で問題とならない数値です。 |
木くずの遮へい放射線量率 | 0.01マイクロシーベルト/時以下 | 鉛の箱で外部からの放射線の影響を遮断した状態での木くずそのものの放射線量率。東京都の災害廃棄物受入れ基準と同じです。 |
◆測定機器◆
測定項目 | 機 器(製造会社名) |
---|---|
放射線量率 | ガンマ線測定用 シンチレーションサーベイメータ 型式NHC7 (富士電機株式会社) |
放射性物質 | ゲルマニウム半導体検出器 型式GC2018 (CANBERRA社) |
◎ 測定機器の表示数値について
テレビのニュース等で流されている映像から、非常に高い数値が表示されているとの誤解があるようです。
埼玉県では空間放射線量について、1分間の積算放射線量を測定しています。その場合に表示される単位は、
nSv(ナノシーベルト)であり、μSv(マイクロシーベルト)の千分の一になります。
通常、テレビや新聞で報道されている放射線量の単位は、1時間当たりのマイクロシーベルトですので、1分間
の積算値を60倍して1000で割ることになります。
(例) 0.4ナノマイクロシーベルト/毎分=0.4×60÷1000=0.024マイクロシーベルト/時
2 実証試験の実施
受入れ開始の前に、実際の施設を用いて、実証試験を行いました。搬出元での破砕から運搬、焼成まで、各段階での測定を行い、安全性を確認します。
参考 平成24年3月1日 記者発表資料[PDFファイル/192KB]
実証試験の結果(速報) -安全の確保に向けてー
岩手県からの受入れに向けて、県では実証試験を行いました。
◆第3報 埼玉県内での測定結果 (平成24年3月25日実施)
この測定は、受入れを予定している県内3か所のセメント工場において実施しました。
試験当日、判明した測定値については、すべて県の受入れ基準に適合していました。
また、事前に行った各工場周辺での空間放射線量率の測定結果は0.112マイクロシーベルト以下でしたが、セメント焼成炉に木くずを投入した後も大きな変化は測定されませんでした。なお3月31日まで引き続き各工場周辺での空間放射線量を測定します。
なお、木くずの放射性物質濃度及びセメント製造工程で発生する排ガスの放射性物質濃度の測定結果は判明次第発表します。 また、製品の放射性物質濃度については製品完成後に別途測定し発表します。
1 実施場所および試験量
(1)太平洋セメント(株) 熊谷工場(熊谷市三ヶ尻) 40トン
(2)太平洋セメント(株) 埼玉工場(日高市大字原宿) 5トン
(3)三菱マテリアル(株) 横瀬工場(秩父郡横瀬町大字横瀬) 39トン (合計 約84トン)
2 実施日時:平成24年3月25日(日)
3 実施した試験内容
(1)搬入時のコンテナ側面の空間放射線量率の測定
(2)搬入時の木くずの遮へい放射線量率の測定
(3)荷降ろし後のストックヤード(保管施設)の空間放射線量率の測定
(4)荷降ろし後の木くずの放射性物質濃度の測定
(5)セメント製造過程で発生する排ガスの放射性物質濃度の測定
(6)各工場周辺の環境モニタリング調査における空間放射線量率の測定
本日の実証試験は、上記の図『処理の流れ』中の(4)、(5)、(6)の箇所に該当します。
4 測定結果 3月25日 測定結果[PDFファイル/226KB]
5 周辺環境モニタリング調査結果
別紙1 太平洋セメント(株) 熊谷工場[PDFファイル/144KB]周辺
別紙1-1 (全ての結果) 熊谷工場の結果 [PDFファイル/151KB]
別紙2 太平洋セメント(株) 埼玉工場[PDFファイル/140KB]周辺
別紙2-1 (全ての結果) 埼玉工場の結果 [PDFファイル/147KB]
別紙3 三菱マテリアル(株)司会 横瀬工場[PDFファイル/130KB]周辺
別紙3-1 (全ての結果) 横瀬工場の結果 [PDFファイル/138KB]
◆第2報 搬出地(岩手県)での測定結果 (平成24年3月13日、19日及び20日 実施)
この測定は、岩手県における破砕後と搬出時の結果です。
破砕後には破砕施設における木くずの放射性物質濃度、水銀やヒ素等の有害物質濃度、環境アスベスト濃度を測定し、搬出時には木くずの遮へい放射線量率とコンテナの空間放射線量率を測定しました。測定結果はすべて埼玉県の受入基準に適合していました。
1 破砕後における測定(岩手県山田町内)
(1)実施日:平成24年3月13日(火)
(2)測定結果 別紙1[PDFファイル/83KB]
ア 木くずの放射性物質濃度 不検出(検出限界値 14.8ベクレル/キログラム未満)
※埼玉県の受入れ基準値 :100ベクレル/キログラム 以下
イ 木くずの有害物質濃度 法令基準以下
ウ 環境アスベスト濃度 法令基準以下
2 搬出時における測定(岩手県山田町内)
(1)実施日:平成24年3月19日(月)及び20日(火)
(2)測定結果 別紙2[PDFファイル/78KB]
ア 木くずの遮へい放射線量率 3月19日 0.0024マイクロシーベルト/時
3月20日 -0.0006マイクロシーベルト/時(注)
※埼玉県の受入れ基準値 :0.01マイクロシーベルト/時以下
(注)遮へい放射線量率は、木くずを遮へい箱(鉛箱)に入れて測定した値から、箱を空の状態にして測定した値を引いて算出します。きわめて微弱な放射線量測定のため、測定値算出時にマイナスとなる場合があります。
イ 搬出時コンテナの空間放射線量率(コンテナごとに測定)
3月19日 0.051~0.068マイクロシーベルト/時
3月20日 0.048~0.062マイクロシーベルト/時
※埼玉県の受入れ基準値:0.23マイクロシーベルト/時以下
(参考)
今回測定した木くずは3月12日までに岩手県野田村より搬出し、同県山田町で破砕したものです。上記図『処理の流れ』の(2)、(3)の箇所に該当します。
◆第1報 搬出地(岩手県)での測定結果 (平成24年3月12日 実施)
1 受入れを予定している柱材・角材の仮置き場における空間放射線量率
測定結果について(第1報)[PDFファイル/448KB]
Q&A
・ 受入れに関するQ&A[PDFファイル/151KB]
参考資料
・受入れの概要[PDFファイル/954KB]
外部へのリンク
1 埼玉県 放射性物質に関する測定結果
2 埼玉県 埼玉県における放射線の影響に関するQ&A
3 環境省 広域処理情報サイト
◎◎◎ 問合せ先 ◎◎◎
埼玉県環境部資源循環推進課 一般廃棄物・リサイクル担当
〒330-9301 さいたま市浦和区高砂3-15-1
ファックス 048-830-4791 電話048-830-3110