FLASH黄金時代とは、
Webアニメーション黎明期から動画共有サイトの台頭までの期間、人気を博した動画を収録するタグである。
概要
Youtube、ニコニコ動画が流行を見せる前、一世を風靡した動画達があった。 それはFlash動画。現在でもニコ動のプレーヤーに使われたりして目にする機会が多いFlashだが、かつては動画≒flashと言っていいくらいのシェアを誇っていた。作られていた動画は時事ネタ、アニパロ、MAD、空耳などなど。現在のニコニコ動画の動画達の源流ともいえるような動画が生まれていたのである。
「FLASH黄金時代」の定義は人それぞれ(特に終焉の時期は解釈に大きく差がある)だが、始まりは98~02年、終焉は05~07年、という解釈が一般的である。
Flashの時代
黎明期
Flashが動画の形式として知名度を上げ始めたのは1999年のFlash4からである。他の形式よりサイズが軽いという特性[1]と、4へのバージョンアップでmp3を音楽として利用することが可能となったことで、低サイズの動画作成ツールとして重宝されていくことになる。当時はISDNやテレホタイムが全盛の時代。高負荷になりやすいMPEGなどの動画ファイルでの作品制作は公開場所を探すのも配布するのも難しかった。[2]
黎明期に活躍したサイト・職人としては「ポエ山」、「wasabi」、「ドラサイト(後のオラサイト・ラサイト)」、「意味不明島」などが挙がる。当時のネット環境の性質上、いくつかのFlash公開サイトでは著作権違反上等(特にドラサイト)で作品が公開されたため、以降のFlashステージにおいても著作権問題は軽視されやすくなっていった。
その一方で、クリエイターの人が作った真面目なオリジナル作品[3]もこの頃から生まれていた。代表的な物だと「catman」「quino」「小小作品」などがあげられる。
21世紀に入ると、2chが大きな盛り上がりを見せ始め、2chAAを使用した動画、2chで起きた事件のまとめ動画が制作されるようになる。
成長期
2002年1月、2chアスキーアート板から分離した動画ネタ用の板「FLASH・動画板」が設立される。上記の書き込みの通り「FLASH・動画板」設立を提案したのは、かーず氏だとされる[4]。よって、「FLASH・動画板」の父はかーずで、母はひろゆ子(ひろゆき)と言われる。 アスキーアートの発展と共「FLASH・動画板」は、にょきにょき育っていきました。
この頃はFLASH・動画板のみならず2ch全体に勢いがあり、2ch上で流行したコンテンツは即座にFlashにより動画化された。「ちんこ音頭」や「巫女みこナース」、「鈴木宗男(ムネヲハウス)」など。2001年夏に起きた2ch閉鎖危機とUNIX板の住人の努力などもこの時期に動画になっている。板内の企画も好調で、「*50レス目のネタでFLASH作れ」「紅白フラッシュ合戦」などの企画が誕生。「FLASH職人」と呼ばれる数多くの動画製作者が誕生した。他の板との連携も強く、2002年の第1回2ch全板トーナメントでは多数の支援動画が制作され、最強の現物支援と評価された。
その一方、使用音楽の問題は依然根強く、度々動画の削除やファンの暴走などが見られた。Flash作品「しぃのうた」が、同作品で使われた曲(英語版LUNARの作中曲)がJASRAC登録曲だったために親サイトから削除され、これにFlash板の住民が激怒して無数のミラーFlashが張られた一件は有名である。
また2ch外のサイトでは、投稿された画像や動画を評価するシステムを備えていたサイト「Pya!」、「かーずSP」「イイアクセス」などFLASHを中心に扱うニュースサイトも無視できない影響力を誇っていた。
現在の中学生~大学生の中には、小学校の頃に情報室かどこかのパソコンから、友人と一緒に見あさっていた人も多いはずである。
全盛期、そして衰退
第1回FLASH★BOMB、第2回紅白フラッシュ合戦(03年)、第2回FLASH★BOMB、第3回紅白フラッシュ合戦(04年)のあったあたりがFLASH製作の全盛期と言われる。職人の参入は留まることなく、動画のレベルは日々高まっていた。イベントでは、これまで真面目なオリジナル作品で2chには縁がないと思われていたような製作者(前述のcatmanの作者など)も参加する、といったある種異常な盛り上がりを見せていた。
衰退の兆候が見え始めたのはその後Macromedia社がAdobe社に買収された2005年のことである。ただでなくても高いと言われていたFlash制作ツールが他のAdobe製品と共に抱き合わせパッケージに組み込まれ、制作の敷居が高くなってしまった。
また、以前からあったネットランナーなどの雑誌におけるFlash作品の盗用がこの頃から熾烈になっていた。その盗用ぶりは同じような盗作問題を抱えていたふたばよりも酷く、職人の制作意気が大きく阻喪されることになった。
さらに、FLASHの隆盛からJASRACの監視の目が厳しいものとなり、JASRAC登録曲を利用したFlashムービーの削除される頻度が高くなった。その一方で、界隈を牽引するベテラン層はオンライン企画からイベントへと制作の場を移してきたためそのような削除対象となる動画[5]から距離を置くようになる。このため、JASRAC登録曲を利用したFlashムービーが作りにくくなり、バリエーションの幅が狭くなってしまった。
そして恋のマイアヒを発端としたいわゆるのまネコ騒動において当動画を制作した人物が2chと対立する路線を採ったため、2chにおけるFlashクリエイター、ひいては板そのものが煙たがられ始めたことでさらに勢いが失墜する。第3回FLASH★BOMB(05年夏)以降で流行したネタと言えば「代ゼミMAD」「もすかう」程度という有様であった。
決定打は、誰でも動画を無料で簡単に公開できるYoutubeの誕生だった。元来Flashは個人用サーバーでの公開で容量・転送量の限界があり、また視聴者のレスポンスが得にくい環境だった。これを打破したYoutubeとその派生サイトニコニコ動画が出現したことにより、とうとうFLASHアニメーションはその立場を奪われ、絶滅と呼ばれる状態にまで陥った。この頃になるとコンピュータや回線のスペックも上昇してMPEGなどが容易に扱える環境が整っていったため、かつての長所だった軽さは意味をなさなくなっていた。
Flash黄金期の終焉時期については一意を見ず、上記MacromediaがAdobeに買収されるあたりまでという見解から、Flash商用問題まで・・・動画閲覧サイト開設まで・・・という見解まで存在し、はっきりとした時期が定まっている訳ではない。
余談:AS動画、FLASHゲーム
FlashにはActionScriptによるインタラクティブコンテンツを仕込めるという特徴がある。簡単に言えば動画をクリックすることで特定の反応が行えたり、キーボードの入力に応じて特定の動作ができるようになったり…ということができる。「Flashゲーム」や「Flashノベル」、動画のギミック(マウスカーソルを当てると花が揺れる、リプレイ回数で出てくるキャラが違うなど)はこの機能により作られている。有名な例としては「マテリアルスナイパー」「dotwar」などがある。また動画のみならずインタラクティブコンテンツを扱えるその性質上、エロ動画においてもFlashは大いに使用された。特にこの頃はFF7やワンピースが流行した時代であり、そこでお世話になったFlashも多いのではないだろうか。
これらインタラクティブコンテンツ(Flashゲームやビジュアルノベル)はYoutubeやニコニコ動画などの動画閲覧サイトでは作れないため、現在もそれなりの規模で続いている。また、プレーヤーなどサービスソフトとしてのFLASHの利用はむしろ増えており、ニコニコ動画のプレイヤーもこれで作られている。
その後
現在ではswf形式ファイルにより動画が公開される機会は減少したが、Flash文化のニコニコ動画への影響は大きい。
というか、ニコ動の有名作品の中にはFLASH動画やFLASH職人制作の物がかなりある。「魔理沙は大変なものを盗んでいきました」のカギ氏、「チルノのさんすう教室」の宇田てとら氏、「ミラクルペイント」PV制作のfla3氏などなど、ニコ動でも大活躍しているFLASH職人は判明しているだけでも数多い。また、「VOCALOID2 初音ミクに「Ievan Polkka」歌わせてみた」のOtomania氏もFlash作品に数多く楽曲を提供してきた方。彼らがいなければニコニコ動画の東方ブームは無かったかもしれないし、ミクのトレードマークが長ネギになる事もなかったかもしれない。
現在でもFlashツールを使用し、動画をエンコしたらニコニコ動画に投稿するFlash職人も少なくは無い。
もっと評価されるべき?
そんなわけで、Flash職人の項の掲示板で語り合おうではないか。
Flash黄金時代タグの範囲
上述の通り、Flash黄金時代についての定義は定まっていない。
本タグはYoutubeやニコニコ動画のサービスが開始される2005~2007年以前に流行したFlash動画につけられやすい。
懐かしい人も、初見の人も、ゆっくりしていってね!!!
ニコニコ大百科に記事のあるFlash黄金時代の作品
- Hatten
- 赤い部屋
- 片翼の田代
- CATMAN
- ゴノレゴ
- しぃのうた
- 小小作品
- とらぶるうぃんどうず
- Nightmare City
- なつみSTEP
- num1000
- ニジウラセブン
- VIP先生
- もすかう
- ロイツマ・ガール
- MAD GEAR SOLID
- 千葉!滋賀!佐賀!
- ハクシャクノテンシ
- 楽しい国語
- K
- ネズミーマウスマーチ
- ウォーリーを探さないで
- RSF作品(セガファンタジー、マイケル3部作)
関連動画
Flash歴史関連動画
→Flash黄金時代の歴史も参照。
関連用語
脚注
- *ベクターイメージが規格の中心というのが理由。詳しくはググれ。
- *当然、サイトのスペースも今より遥かに小さかった。1GBフリーなんて夢の夢。
- *オリジナルCGのサイトを想像するとわかりやすい
- *が、かーず氏曰くこれはひろゆきの無茶振りだったとのこと。
- *俗に黒動画と呼ばれた。対義語は白動画。
http://dic.nicomoba.jp/k/a/flash%E9%BB%84%E9%87%91%E6%99%82%E4%BB%A3
読み:フラッシュオウゴンジダイ
初版作成日: 08/06/01 21:12 ◆ 最終更新日: 12/03/31 01:58
編集内容についての説明/コメント: 内容の大幅な改訂と項分け 全盛期の記述が時期ばらばらだったのでそれを整理
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