エストレヤ / 龍野城内 ��
04 05, 2012
津山から100km弱を走行。
スピードによるヘルメット内への暴風。
老体にはずいぶんと過酷な旅を続けてきたわたしは、昼食をとることにした。
このチャイニーズ・レストラントはたつの市の最上級酒店である。
わたしは常々、その街、その街における最上級の店で食事をとることにしている。
当たり前のことだ。
バックミラーにヘルメットを、シートにLUCKY STRIKEジャケットをそのままに、更にキーも抜かずしてわたしは堂々たる足取りで店内に入った。
田舎だから何の心配もいらない。
盗られたら盗られたときに物事を考えれば良い。
メニューも見ず、一番安い日替わりランチを注文。
なんか、アレだな。特にマーボ豆腐！
もっとギトギトでねっとりと、ある意味広州の下町・腐臭的な香りを放って欲しい。
それと色合いが淡いのが気に食わない。
全品が確かに、あたり触りのない味だ。が、ジャパナイズドされ過ぎだ。
『日本風にするのも適度にしろ』と声を大にして厨房の人間に言いたい気分だ。
それと、細かなことを言うと、上の上の写真を見て欲しいが、ごはんの上のザーサイの小皿のザーサイの微量なことたるや。
カブトムシのエサじゃないんだから。
ザーサイくらいのことをケチるな、バカやろう！
ザーは面積と厚みがあってこそ、ザーの歯ごたえと、ウッとくる味が楽しめるのだ。
それと麻婆豆腐は、ネチネチ、ギトギト、ギラギラと景色を反射する 濃厚焦がし茶色 でなくては、麻婆豆腐と呼べない。
味噌汁のようなマーボは食うに値しない。
FUCK OFFだ。
店名を忘れたがチャイナタウンの四川風マーボは・・（以下略）
まあそんなことは別段良いのだが、店内にたつの市の地図が貼ってある。
数分ですべてを理解した。市のすべてを。
八宝閣の裏手の分譲中マンション。
広々４ＬＤＫ 月々７万円台のお支払い
売れてなさそうな気配がする。
売れてなさそうなにおいがプンプンまき散らされている。
しかし最近、外車の一部の車種は前部ナンバープレートがくにゃりと折れるように取り付けるようになってるんだな。
かっこいい。
龍野は、天正年間（1580年頃）創業、なんと 430年 の歴史を紡いできた
の本拠地である。なんということなんだ！
江戸、江戸幕府創立前から、ドクドクとしょう油を作っているというのだ。
わたしは現存する人間社会の調味料の中で、醤油こそがベスト・テイストだと判定する。
しょう油こそは万能。
しょう油があればおかずはいらない。
しょう油（とバター）をあつあつの白飯にかけた場合、何杯でもいける。
NARITA AIRPORTを降り立った途端、ほのかに香る Soy sauce の香。
日本は醤油列島なのだ。離乳食直後から死にかけるまで醤油を使うわれわれ。
わたしはキャベツの千切りにドレッシングなどかけはしない。歴然としょう油を垂らす人間だ。
コロッケにもトンカツにもジャブジャブとしょう油をかける男だ。
更に言えばカレーにも・・
（もうええって）
何年前か何十年前か、、
国道179号線でやってきて龍野橋西詰交差点で国道は直角に左折し、揖保川をまたぐ橋の上から見たこの工場は、言ってみれば軍艦島のようであり、あえて言うとするならば九龍城塞のようで、オドロオドロしいまでの迫力があったような記憶が。
巨大かつ老朽。
心が巨体の前に素直になり、吸い込まれたくなるような色と造形。
魔窟と現世のはざまを流れる三途の川に踏み込むかのごとく。
そんなおおげさなもんじゃねーか
昔はこのように ↓ コントラストが強い感じだったと思うんだが・・
しかし2012年の新学期に見たヒガシマル城塞は、単にしょぼくれた工場だった。
九龍城塞の写真をネットでたくさん見たからかな？
おそらくそうだ。
□ 巨大スラム、九龍城塞 今は亡きどこの国の法も及ばない不管理地帯 ／ この混沌
さあ、南下だ。
太子、網干と南に向かってみよう。
山陽自動車道の高架をくぐり、ますますエストレヤの調子はいい。
（というかそんなにスピード出せないし）
これくらいのバイクで十分だ。アホみたいに速いバイクなどいらない。
わたしはこれまで遅いバイクばかりに乗り続けてきた。
その究極が550ccエンブレムを貼った、実は400ccという YAMAHA XZ400D だ。
あれは遅かったな。
Vツインのエンジンが強烈に遅かった。
遅かったが・・
わたしの手にかかると、市街地走行ではまったくと言っていいほど敵なしの速さだった。
操る者によって特に単車などというものは、発揮する性能が違う。
わたしのような人間は、乗るバイク乗るバイクの最大限のパフォーマンスを引きだし・・・
まあいい。
網干駅前の新築マンションに入ろうかと思ったがオートロックで入れず、コンビニで休息。
いちご・のむヨーグルトとマイルドセブンを購入。
この白のパッケージのマイルドセブンを置いているコンビニはそうはない。
１５０軒回ってあるかないかだ。
まさしく、すべからく、いかんせん、縦横無尽にマイルドセブンというタバコは秀でている。
香りがいいのだ。
試しにこのタバコを鼻に近づけて見るがよい。
なんとも森羅万象を把握し尽くした気分になり、その民は必ずや破顔一笑となろう。
チャコール・フィルター。
今日はバイクに乗ってても１８歳になった気分になれないが、マイルドセブンを味わっているとジャズ研究会（ジャズを研究するところ）の部室に時も場も移動したかのようだ。
黄色いドラムセット。
安すぎるソファ。
壁に開いた穴。
錆びた譜面台。
缶コーヒー。
ソファにのけぞり、マイルドセブンをふかす。
タバコこそが人生の甘い蜜だった。
まあそれはどうでもいいんだが、
いちごヨーグルトが思いのほかうまく甘く、わたしは流麗にヘルをかぶり、エンジンを始動した。
ここまで来たのだから瀬戸内海でも見るか・・
（つづく）
