油圧ショベルの組み立てラインを一通り見学し終えて工場の外に出ると、広大な敷地に、大小さまざまな油圧ショベルがズラリと並んでいた。製造台数の比率は中型ショベルが約50%、小型ショベルと大型ショベルが、それぞれ約20〜30%。出荷先は中国国内が約90%、海外が約10%となっている。
「中国国内向けと海外向けでは、操作感などが異なる。欧米ではレバーがガチッガチッと入る手応えのある操作感が好まれるが、中国や東南アジアでは、日本同様スムーズな操作感が好まれる傾向にある。このような趣向的なニーズに対して、どのように味付けし、機械を提供するかというところにも、技術の高さが求められる」と奥氏は説明する。
今後は、現在10%程度の海外比率を、2015年までに30%に拡大していく計画だ。
今回の福島第一原発での事故にからみ、弊社が提供したコンクリートポンプ車の操作や修理の方法を東京電力の社員の方々に指導するため、私を含め3人の中国人技術者が招集されました。私たちはそれぞれ上海、長沙、ベトナムから日本に向けて出発し、3月22日には全員が東京に到着しました。
コンクリートポンプ車の方は、3月20日に湖南省の長沙にある三一重工本社を出発し、22日に上海に到着。そこで船積みされ、24日に大阪港で陸揚げされました。東電の方々に対してトレーニングを行うには、コンクリートポンプ車を設置できるだけの広い敷地が必要でした。そのため、千葉にある建設機械レンタル会社の研修施設まで運転して運びました。そこでは、3人の東電社員に操作方法などを指導しました。特に原子炉の冷却という特殊な用途であったため、常に安全装置を意識しながら操作することを強調しました。
通常だと、こうした訓練に3カ月程度かかるのですが、今回は非常事態なので、わずか2日間で終わらせなければなりません。もちろん東電の方々は重機の操作経験などありませんから、彼らも我々も全員必死。トレーニングは、早朝5時から深夜0時にまで及びました。過酷な2日間でしたが、東電の方々は大変勉強熱心で、日本人の勤勉さ、真面目さにとても感動しました。東電の方々から、弊社のコンクリートポンプ車は「非常に操作しやすい」との感想をいただいた時はうれしかったですね。
そして3月27日、コンクリートポンプ車は福島第一原発に到着し、31日12時、福島第一原発1号機への放水を開始しました。私はその様子を東京で、テレビで見守っていました。1回目の放水後、原子炉と使用済み燃料の温度が大幅に下がったとの報告を受けた時は、胸をなで下ろしました。また、「大キリン」という可愛いニックネームまで付けてもらい、とてもうれしく思っています。私自身も貴重な経験をさせてもらい、大変勉強になりました。感謝すると共に誇りに思っています。日本にはこの大災害を乗り越えていただき、1日も早く復興を果たしてほしいです。