政治【東京特派員】湯浅博 野ユリの花は謝謝台湾+(2/2ページ)(2011.7.12 07:54

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【東京特派員】
湯浅博 野ユリの花は謝謝台湾

2011.7.12 07:54 (2/2ページ)

 台北支局長だった山本勲記者(現中国総局長)は、支局の電話で「ニュースを見ながら毎日泣いています」との声を何本も受けたという。台湾の温情には感謝に堪えない。

 これに謝意を伝えたいと、女性デザイナーが短文投稿サイト「ツイッター」を通じて、「謝謝台湾」計画を立ち上げた。たちまち6千人以上の人々から1900万円の寄付が集まった。3日付の聯合報と自由時報の2紙に、日本語の「ありがとう、台湾」を交えた感謝広告を出した。

 台湾出身の金さんの元には、「台湾に行って直接、謝意を表したい」との連絡が多く飛び込んでくる。そこで金さんは一計を案じた。現地語ができない人のために、謝意を示すTシャツを作ったらどうか。これを着て、台湾の街を歩いたらひと目で、日本人の気持ちが伝わる。

 左胸に「多謝」「ありがとう」の文字を織り込み、背中には野ユリの花をあしらって「I LOVE TAIWAN」と書きこんだ。色は金さんの好きな緑と白の2種類を用意した。袖には、日の丸と地球に台湾の島影をかたどったマークを入れる。青天白日旗は国民党の旗であって、台湾の旗ではないからだ。

 実は2紙に掲載した感謝広告には、日本の象徴として桜、台湾の象徴として梅の花びらをあしらっていた。ただ、金さんにはしっくりこない。

 桜の花はその通りだが、もう1つの梅は必ずしも台湾人の共通認識とは言い難い。梅は蒋介石が中華民国の花と決めたもので、いわば国民党の花なのである。

 その中華民国が台湾にやってきて権力を掌握したから、中華民国の花が台湾の花と誤解されて今日に至っている。

 野ユリは台湾の民主化と自由の象徴であった。1990年3月に台湾の学生たちが台北の中正記念堂前で座り込み、広場には巨大な野ユリの模型が飾られた。総統だった李登輝さんがこれに共鳴して、学生が要求した「国是会議」が開催されたいきさつがある。

 どうやら金美齢さんは、台湾原産の野ユリを日本人に慈しんでほしいようなのだ。(ゆあさ ひろし)

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