“人工衛星”で警報システム試験4月5日 4時0分
北朝鮮が予告している「人工衛星」の打ち上げを巡って総務省消防庁は5日、沖縄県の市町村を対象に、「J-ALERT(ジェイ・アラート)=全国瞬時警報システム」を使った情報伝達試験を行います。
J-ALERTは、大規模な災害や有事などの際、国が各地の自治体の防災行政無線などを自動的に起動させ警報音や音声で情報を伝えるシステムで、平成19年に運用が始まり、全国の自治体の98%余りで整備されています。
北朝鮮による打ち上げの際、情報伝達手段として使われることに決まりました。
試験の対象となるのは、沖縄の26の市町村で、5日午前、国から2回にわたって試験用の文章を音声やデータで送信し、受信状況を確認することにしています。
また、同じ音声やデータは、全国に同時に送信されることから、総務省消防庁は、対象外の市町村も、この機会にJ-ALERTが正常に作動するかどうか、確認するよう求めています。
J-ALERTは、これまで災害に関する情報の送信に使われたことはありますが、それ以外の目的で使われるのは今回が初めてで、当日は、打ち上げの直後と、日本の上空を通過したあとに情報を発信することにしています。
「攻撃対象地域沖縄県」の表示
5日に行われるJーALERTの試験で、国からの情報を受信する各自治体の端末の画面に、「国民保護に関する情報」「攻撃対象地域沖縄県」という文章が表示されることが分かりました。
総務省消防庁はシステムの設定の変更が間に合わないため、実際の打ち上げのときもこの文章を見出しにして各自治体に情報を配信することになるとしています。
今回配信されることが判った文章は、有事の際に各自治体に配信する情報の「見出し」となるもので、本来、今回のような事態とは別のケースで使われるものです。
この文章は、5日の試験で防災行政無線やコミュニティーFMなどに音声情報として送られることはなく、各市町村の防災担当部署にとどまるということです。
また、総務省消防庁は、システムの設定の変更が間に合わないため、北朝鮮による実際の打ち上げのときもこの文章を見出しにして各自治体に情報を配信することになるとしています。
これについて、総務省消防庁は「JーALERTを使って『人工衛星の打ち上げ』という今回のような情報を伝達することについては想定していなかった。より正確な情報を伝える画面にしたかったが、設定の変更が間に合わなかった」としています。
“必要以上の不安抱かせる”
今回、JーALERTの試験や実際の運用の際に「攻撃対象地域沖縄県」などという表現が使われることについて、軍事評論家の前田哲男さんは「沖縄県をはじめ国からの情報を受け取る全国の自治体に必要以上の不安を抱かせてしまうのではないか。また、国際社会に対して日本が今回の打ち上げを『武力攻撃』と捉えて対応しているという印象を強く与えてしまうおそれもある。国は不安や誤解を与えないよう慎重に対応するべきだ」と話しています。
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