米国の科学誌に2003年に載った論文の研究データに不適切な処理があったとして、東京大学分子細胞生物学研究所の加藤茂明教授らが論文を取り下げたことがわかった。加藤教授は3月末、監督責任があるとして東大を辞職した。この論文を含め複数の論文でデータの使い回しや加工の疑いがあるとの指摘が大学外からあり、東大は調査委員会を設けて調べている。
取り下げられた論文は、難病の仕組みを研究したもので、著名な科学誌「セル」に掲載された。加藤教授が指導監督した。取り下げの詳細な理由は明らかにされていないが、加藤教授らは実験結果の図について「実験データを正しく反映できていないなど不適切な処理があった」と同誌に説明している。一方、論文投稿時に加藤教授の研究チームに所属し、論文の筆頭筆者だった群馬大の教授は、取り下げに同意しなかった。