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原発の再稼働をめぐる関係閣僚の初会合が3日に開かれ、野田首相は結論を持ち越した。首相は、次回までに福島第一原発事故を踏まえた安全対策の暫定基準を示すよう、原子力安全・保[記事全文]
北朝鮮が「人工衛星」と称して4月中旬の打ち上げを予告している弾道ミサイルの破壊措置命令を、田中防衛相が自衛隊に発令した。ただし、自衛隊のミサイル防衛システムで備えること[記事全文]
原発の再稼働をめぐる関係閣僚の初会合が3日に開かれ、野田首相は結論を持ち越した。
首相は、次回までに福島第一原発事故を踏まえた安全対策の暫定基準を示すよう、原子力安全・保安院に求めた。
「再稼働の基準にする」として実施したストレステストの1次評価は、当座しのぎの色彩が強かった。それだけでは不十分との判断だ。
原発に対する国民の根強い不信を前に、当初の方針を転換せざるをえなかったということだろう。事故の反省を採り入れた基準に改め、基本に立ち返って安全性を吟味する。そのための軌道修正なら、評価する。
ところが、次回の会合は週内にも開き、基準づくりも「1、2日でハチマキを巻いてやる」(藤村官房長官)のだという。
まるで「衣(ころも)を取りかえればいい」と言わんばかりのスケジュールだ。
もちろん、新たな基準といっても白地に絵を描くわけではない。保安院が独自の事故検証をもとにつくった30項目の対策を「もっとわかりやすくする」作業だ。短時間で可能との見立てなのかもしれない。
だが、このままだと北海道電力の泊原発3号機が5月初めに定期検査に入り、原発の稼働がゼロになる。その前に、関西電力・大飯原発(福井県)の再稼働に道筋をつけたい。そんな思惑が透けてみえる。
30項目の中には、大がかりな工事が必要で、時間を要するものも含まれている。「もっとわかりやすい」基準が、短期に実現できる対策だけになったら、本末転倒だ。「再稼働ありき」の基準は許されない。
確かに、夏場の電力不足は心配である。ただ、見極めるにはまだ時間がある。まずは需給見通しの精査を急ぐ。あわせて、安全対策づくりに腰をすえてかかるべきだ。
作業は当面、保安院が担当するしかないが、本来は4月に新しくできるはずだった原子力規制庁の役割だ。与野党は一刻も早く関連法案の審議に入らなければならない。
政府は、福島第一原発の周辺に、将来にわたって住民が帰宅できない区域の設定を検討しているという。原発で大きな事故が起きれば、取り返しがつかない事態になることを改めて感じさせる。
そもそも原発に「絶対安全」はない。その前提での再稼働はぎりぎりの選択である。形だけの手続きで強行しようとすれば、政権への信用は完全に失われるだろう。
北朝鮮が「人工衛星」と称して4月中旬の打ち上げを予告している弾道ミサイルの破壊措置命令を、田中防衛相が自衛隊に発令した。
ただし、自衛隊のミサイル防衛システムで備えることが、問題の決定的な解決策でないことは、はっきりしている。
何よりも日本政府がめざすべきは、外交努力によってミサイルを打たせないことだ。そのことを改めて確認しておく。
北朝鮮のミサイルは、沖縄県の先島諸島上空を通過するとみられている。
日本の領土や領海に落ちてきた時に備え、自衛隊は海上配備型迎撃ミサイル(SM3)を積んだイージス艦3隻を日本海と東シナ海に展開する。さらに地対空誘導弾パトリオット3(PAC3)を首都圏と沖縄県内にそれぞれ置く。
こうした措置を取るのは、2009年以来、2回目だ。可能性は低くても、できる限りの準備をする。この対応には国民の理解も得られるだろう。
国連安保理決議に違反する北朝鮮の行為には、日本政府として厳しく対処する姿勢を内外に示すという意味もある。
一方で、外交努力とはいっても、北朝鮮との国交がない日本政府の出番はごく限られる。ましてや今回の「衛星打ち上げ」は、昨年12月に死去した金正日総書記の遺訓とされるだけに、発射断念に追い込むのは相当に難しそうだ。
それでも、この打ち上げには、米国と韓国だけでなく、中国もロシアも反対の意向を示している。
さらに、ミサイルの2段目が近海に落下しそうなフィリピンをはじめ、東南アジア諸国連合の加盟国も中止を求めたり懸念を表明したりしている。
日本は、こうした関係各国の動きに呼応して、北朝鮮への外交的な包囲網を強めることはできるはずだ。
北朝鮮の暴挙を契機として、各国の連携強化を図る。そんなしたたかさが、日本政府にはほしい。
今週末に中国で開かれる日中韓外相会議も、北朝鮮への警告の舞台に活用すべきだ。
これまで、北朝鮮はミサイル発射のあとに、核実験をしてきた。今回もその可能性があり、踏み切れば3回目になる。
そんなことは許せない。
自衛隊の迎撃態勢を整える一方で、外交包囲網を活用して発射中止を粘り強く働きかける。傍若無人な北朝鮮を抑え込む即効性のある妙案を見いだせない現状では、それしかない。