「100万台普及という目標を立てたものの、実際に走っている車はほとんどないはずだ」
李明博(イ・ミョンバク)政権は、電気自動車を2020年までに100万台普及させ、20兆ウォン(約1兆4600億円)の市場をつくるという目標を立てているが、昨年末現在で電気自動車の登録台数は344台にとどまっており、達成に向けた道のりははるかに遠い。344台というのもあくまで登録台数であり、地方自治体がテスト導入目的で購入を割り当てられたものがほとんどで、実際に路上を走っている台数はそれよりはるかに少ないとみられる。
■関連メーカーが経営難
グリーン産業の代表として脚光を浴びた電気自動車関連の中小企業は、次々と事業撤退を余儀なくされている。電気自動車のばら色の未来を信じて投資した個人投資家は、数千億ウォン(数百億円)に上る資金を回収できなくなった。少なく見積もって3000億ウォン(約219億円)だが、政府による普及政策と関連企業を信じて投資が行われた関連市場の規模からみて、数兆ウォン規模の市場自体が幻となったと言われている。現代・起亜自動車など大手メーカーは、電気自動車の量産に向けた準備を進めているが、大衆化する時期は不透明だ。
3年前に電気自動車業界をリードする注目企業だったCT&Tは今月22日、店頭市場コスダックで上場廃止が決まった。時速60キロ未満で走る低速電気自動車の普及を図ったが、販売台数は100台余りにとどまった。昨年末に裁判所に企業再生手続きの適用を申請したが、裁判所は「清算すべき」との判断を示し、申請が認められず、上場廃止が決まった。
CT&Tは、2010年に700億ウォン(約51億円)、昨年に300億ウォン(約22億円)を超える赤字を出した。一時3500億ウォン(約255億円)に達した株式時価総額も100億ウォン前後(約7億円)に減少。350人いた社員も現在は30人を残すだけだ。投資家は「2009年秋に李明博大統領夫妻が韓国大統領府(青瓦台)の敷地内でCT&Tの電気自動車に乗ったのを見て、政府が責任を持って育成する企業だと思った」と話した。一部株主は集団行動で補償を求める構えとされる。
ADモータースも最近、株式売買が停止された。業績は4期連続赤字だ。株価はかつての2000ウォンから200ウォン台にまで落ち込んだ。GNDウィンテックは既に市場から撤退した。