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福島で暮らす ドキュメンタリー上映へ

2012年03月26日

写真

被災地の現状を説明する吉田泰三さん=札幌市中央区

■福島で暮らす、放射線と戦う
■札幌の映像作家撮影

 3・11後の福島県に暮らす人たちの声を集めたドキュメンタリーフィルムの上映会が、札幌市など道内3市で開かれる。映像からは、東日本大震災と東京電力福島第一原発事故で「日常」を奪われた母親や子どもらの苦悩が浮かび上がる。タイトルは「普通の生活」。撮影した札幌在住の映像作家、吉田泰三さん(52)は「今の福島に暮らすとはどういうことかを感じてもらえれば」と話す。

 福島県で育ったことで将来、差別を受けないか不安――。カメラの前で、小学生の女の子が小さな声で漏らす。幼稚園での撮影中に余震が起きた時には園児の叫び声が響いた。「地震のばかやろー!」

 震災後、吉田さんは「自分にできるのは人々のつぶやきを記録することだ」と、昨年の4、5、9月にボランティア活動をしながら郡山市や福島市、南相馬市などで約50人にインタビュー、撮りためた約30時間を80分にまとめた。

 ドキュメンタリーには多くの母親も登場する。幼稚園に通う子どもに「僕はいつまで生きられるの?」と聞かれたと声を詰まらせる母親。放射線が心配で洗濯物を室内に干し、食事は無洗米を炊いていると話す母親たち……。放射線から家族を守るための戦いを常に強いられているのが、今の福島県の「普通の生活」だと、吉田さんは言う。

 母親たちの声からは、様々な情報に翻弄(ほんろう)される家族の姿も浮かび上がる。例えば、同じ場所で放射線量を測っても、線量計の種類や測定の仕方によって数値は異なる。どの情報を信じるか、夫や祖父母らと意見が食い違い、それが精神的な疲弊を生んでいく。生き抜くという点は同じでも、「家族が一丸となって戦えない」(吉田さん)ことに苦しむ人々も多いという。

 (浦島千佳)

    ◇

 上映会スケジュールと問い合わせ先は以下の通り。料金は各会場で異なる。

 ◆札幌 28日午後3時、同7時、札幌エルプラザ(吉田三千代・ネイバーズ代表=080・1899・5055)

 ◆帯広 31日午後2時半、とかちプラザ(清水マチ子・おびひろ女性塾ぱす代表=0155・38・2427)

 ◆釧路 4月22日午前10時、午後1時、釧路市観光国際交流センター(マシオン恵美香・ベクレルフリー北海道代表=090・9436・8632)

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