国民的人気漫画「サザエさん」の作者、故長谷川町子さんが漫画のアイデアを得たとされる、海岸跡を含む福岡市早良区の市道に「サザエさん通り」の愛称が付けられることになった。同区は5月にも通り沿いにネームプレートを設置、「地域全体を“サザエさん誕生の街”として全国にアピールしたい」としている。
「サザエさん通り」は福岡市営地下鉄西新駅付近から、百道浜の福岡タワー先の博多湾までの約1・6キロ。現在は埋め立てられているが、通りの一部は、登場人物に海に関する名前を付けることを思い付いた百道の旧海岸線に当たる。
道沿いには既に「サザエさん発案の地」の案内板や「磯野広場」があり、通りそばの路地には1944年から2年間、長谷川さんが暮らした住居跡も。これらを線で結んで市民や観光客に街歩きを楽しんでもらうとともに、同区は地元商店街などとのイベントも検討している。
愛称の命名は地元側が2月、区に要望。キャラクターなどの版権を持つ長谷川町子美術館(東京都世田谷区)の了承を得た。同じ愛称は同美術館近くの通りにも付いているが、「通りに漫画の名前が付くこと自体、全国的に珍しい」(国土交通省九州地方整備局)という。
サザエさんは46年4月から、西日本新聞社内に編集局を置いた「夕刊フクニチ」などで連載された。長谷川さんは92年に72歳で亡くなり、同年、国民栄誉賞を受賞した。
=2012/04/04付 西日本新聞朝刊=