検査体制も不備なまま 民主党政権の未熟さを露呈
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食品の放射能規制 国民惑わす「新基準」論議
公明新聞:2012年2月25日付
これでは消費者も生産者も戸惑うばかりだろう。
食品中の放射性物質に関する厚生労働省の新規制値案に対し、文部科学省の放射性審議会が異例の注文を付けた。
「新たな基準値が放射線防護の効果をさらに高めるとは考えにくい」というもので、新規制値案に真正面から疑問をぶつけた格好だ。厚労省案は国産食品の大半が汚染されているとの“誤った仮定”に基づいているとして、「実際より高い汚染割合を算出している」とも指摘している。
果たして厚労省案が正しいのか、審議会の主張が正しいのか。基準値づくりの大詰め段階でこれほど意見が食い違っていては、国民は混乱するばかりだ。民主党政権の政策決定の未熟さ、不透明さをあらためて指摘しないわけにはいかない。
両者の主張の隔たりからは、縦割り行政の弊害も透けて見える。消費者の視点にも生産者の視点にも立ったバランスある総合的な議論が必要なのに、その形跡がまるでなく、「消費者」対「生産者」という対立構造をかえって深める結果となってしまった。
政府は、新基準値を採用する科学的根拠や包括的な放射能対策の指針などを早急にまとめ、消費者にも生産者にも丁寧に説明してもらいたい。
審議会は“異見”を表明したものの、新規制値案そのものについては了承している。このため厚労省は予定通り、4月1日から新しい基準値を適用するとみられる。
だが、不統一感が払拭できないまま新基準を敷いても、合理的な運用はできないのではないか。実際に食品を扱う現場からは早くも不安の声が上がっている。
何より危惧されるのは、新規制値案に見合った検査体制が全く整っていないことだ。
新たな数値は、原発事故直後に設定された基準値より格段に厳しい。コメや肉、魚などの一般食品は1キログラム当たり100ベクレル、牛乳と乳幼児食品は同50ベクレル、飲料水は同10ベクレルといった具合で、厳格な基準設定で知られる欧州に比べても、飲料水で100倍、一般食品で10倍という厳しさだ。
新基準値を超す食品が続出するのは必至で、現行の検査・測定体制ではこの事態に到底、対応できまい。安全・安心を強化したはずなのに、検査の不備から新基準を超える食品が市場に出回る結果となり、風評被害がかえって拡大するということにもなりかねない。
果たしてそこまで考えを巡らした上での新規制値案なのかどうか。不安は尽きない。
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